2020年08月14日
日本フィルと落合陽一が最新テクノロジーを駆使した音楽会を開催―オンライン鑑賞の魅力も探る

10/13 (火)に東京芸術劇場とオンライン上で、「落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団プロジェクトVOL.4」となる《__する音楽会》が開催される。
同プロジェクトは、「テクノロジーによってオーケストラを再構築する」というテーマの元、2018年から過去3回に渡って音楽会を開催。新しいデバイスや映像演出を取り入れ、音楽の世界観を聴覚以外の「視覚や触覚」と連動させたコンサートで、聴覚障害のある人や普段オーケストラに馴染みのない人にも音楽の新たな楽しみ方を提案し、オーケストラの新たな魅力と可能性を広げてきた。
2019年8月VOL.3「交錯する音楽会」 ©平舘平
昨年開催した「耳で聴かない音楽会 2019」では、抱きかかえることで音の速さやリズムを光や振動で感じられる球体のデバイス「SOUND HUG(サウンドハグ)」を使用。サウンドハグは内部にLEDと振動スピーカーを搭載しており、このデバイスを使うことで聴覚障害のある人も一緒に音楽を体感できる。
2018年4月VOL.1「耳で聴かない音楽会」 ©山口敦
この秋に開催される《__する音楽会》という公演名には、当初計画していた音楽会が新型コロナウイルスによって白紙となった様子と、そこから新しい演奏会を模索する「試行錯誤」への覚悟が込められている。
これまでもオーケストラの新たな魅力と価値を広げてきた同プロジェクトが、今年はコロナ禍におけるオーケストラのあり方を模索する。今回はオンライン観賞も可能だが、劇場観賞の代替手段ではなく、オンラインにしかできない新しい鑑賞体験ができるという。ライブでのオーケストラの「響き」と「らしさ」を保ちつつ、劇場観賞とオンライン配信では、同じコンサートを「全く別の体験」として楽しめる仕掛けがあるのだとか。会場で鑑賞した後にオンライン再配信も観賞し、双方を比較してみてはいかがだろうか。
公演で使用するシステム資金と、最高級の音質・映像で生の「響き」、「らしさ」を配信するシステム資金の確保のため、クラウドファンディングプロジェクトも併せて実施する。
落合陽一×日本フィル プロジェクトVOL.4
「__する音楽会 – ____ Orchestra -」
演出:落合陽一
出演:海老原光(指揮)、日本フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
ビジュアル演出:WOW
照明:成瀬一裕
《__する音楽会》
日時:2020/10/13(火) 19:00 開演 / 20:45 終演(予定)
会場:東京芸術劇場 大ホール
演奏曲目:
ベートーヴェン:交響曲第7番 第4楽章
藤倉大:「Longing from afar」 [ハイブリッド演奏世界初演]
ストラヴィンスキー:《兵士の物語》(組曲版・演出つき)ほか
(2020/9/16に、演奏曲目を追加しました)
※今回、SOUND HUGは登場しません。
■クラウドファンディング
クラウドファンディングサービスREADYFOR「落合陽一×日本フィルVOL.4」
※公演チケットに加え、限定グッズやイベント参加券等、各種特典のついたリターンあり。
落合陽一(演出・監修)
Yoichi Ochiai,director
メディアアーティスト。1987年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター センター長、准教授・JST CREST xDiversity プロジェクト研究代表。2015年World Technology Award、2016年PrixArs Electronica、EU よりSTARTS Prize を受賞。Laval Virtual Award を2017年まで4年連続5回受賞、2019年SXSW Creative Experience ARROW Awards など多数受賞。近著として「デジタルネイチャー(PLANETS)」、「2030年の世界地図帳(SB クリエイティブ)」、写真集「質量への憧憬(amana)」。「物化する計算機自然と対峙し、質量と映像の間にある憧憬や情念を反芻する」をステートメントに、研究や芸術活動の枠を自由に越境し、探求と表現を継続している。
海老原光(指揮)
Hikaru Ebihara,conductor
鹿児島生まれ。鹿児島ラ・サール中学校・高等学校、東京芸術大学を卒業、同大学院修了。その後、ハンガリー国立歌劇場にて研鑽を積む。2007年ロブロ・フォン・マタチッチ国際指揮者コンクールで第3位を受賞。指揮を小林研一郎、高階正光、コヴァーチ・ヤーノシュの各氏に師事。2019年、九州シティフィルハーモニー室内合奏団首席指揮者に就任。これまでに、国内主要オーケストラを指揮し、好評を得ている。また、2012年、2015年にクロアチア放送交響楽団の定期公演(ザグレブ)に、2019年にはゲデレー交響楽団(ハンガリー)に客演し、現地で好評を博した。
WOW(ビジュアルデザイン)
WOW,visual design
東京、仙台、ロンドン、サンフランシスコに拠点を置くビジュアルデザインスタジオ。CM やコンセプト映像など、広告における多様な映像表現から、さまざまな空間におけるインスタレーション映像演出、メーカーと共同で開発するユーザーインターフェイスのデザインまで、既存のメディアやカテゴリーにとらわれない、幅広いデザインワークをおこなっている。
日本フィルハーモニー交響楽団
Japan Philharmonic Orchestra
1956年創立。創立指揮者渡邉曉雄。60年を超える歴史と伝統を守りつつ、さらなる発展を目指し、「オーケストラ・コンサート」、「リージョナル・アクティビティ」、「エデュケーション・プログラム」という三つの柱で活動を行っている。首席指揮者ピエタリ・インキネン、桂冠指揮者兼芸術顧問アレクサンドル・ラザレフ、桂冠名誉指揮者小林研一郎、正指揮者山田和樹という充実した指揮者陣を中心に演奏会を行い、“音楽を通して文化を発信”している。2011年4月より、ボランティア活動「被災地に音楽を」を開始。2020年6月末までに294公演を数え、現在も継続している。
落合陽一とのプロジェクトにより、カンヌライオンズ2019ミュージック部門(「エンターテイメントライオンズ・フォー・ミュージック」)ブロンズ賞受賞・SDG 部門(「サスティナブル・デベロップメント・ゴール」)ショートリスト入選、第72回広告電通賞イノベーティブ・アプローチ部門最高賞・特別賞、日本マーケティング大賞奨励賞、第5回JACE イベントアワード優秀賞を受賞。コロナ禍で現在までに、年間事業数の約半数に及ぶ70公演が中止・延期となった。
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特集2019/11/29
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取材依頼書-日本フィルハーモニー交響楽団 照沼夢輝様 このたびは『ひびクラシック』の名物企画「オーケストラリレーインタビュー ~みんなで広げようオケトモの輪!~」の取材をお引き受けいただき、誠にありがとうございます。
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