2021年08月06日
落合陽一×日本フィル テクノロジーでオーケストラを再構築―VOL.5のコンセプトは「五感、解禁。」

8/11(水)、東京のサントリーホールとオンライン上で「落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団プロジェクトVOL.5」となる《醸化する音楽会》が開催される。
落合陽一 × 日本フィルプロジェクトでは、「テクノロジーによってオーケストラを再構築する」というテーマのもと、2018年から過去4回にわたって音楽会を開催してきた。聴覚障害のある方も一緒に音楽を感じて楽しめる「耳で聴かない音楽会」などを通して、オーケストラの新たな魅力と価値を広げるとともに、聴覚と触覚や視覚などの分断を廃し、人間の五感の共感覚的な「身体性」を演出する数々の取り組みで注目を集めてきた。
第5回目を迎える2021年は《醸化する音楽会》と題し、コンセプトは「五感、解禁。」と発表。広報担当者は、「生のオーケストラを通じて五感を総動員させ、嗅覚味覚も取り混ぜながら、音楽と身体性を取り戻す音楽会です。皆様と共にこの時代に生まれる新しい風景を体感できることを楽しみにしています」と呼びかける。
同音楽会の公演会場では、来場者限定の「落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団プロジェクト 写真展」も同時開催する。落合氏が撮影した作品を介して、同プロジェクトの歩みを振り返る。さらに今回もデジタル収録による同時配信と再放送を展開し、体験の共有と世界発信を目指すという。
■落合陽一 コメント
このプロジェクトを通じて,オーケストラの持つ質量について考え続けて早5回目となる.デジタルのもたらす新しい自然,それによる原始的な共感覚化,感覚の変換,音と光と身体性のシナスタジア.耳だけでない可能性をいつも最高のチームとともに探している.
本年度コロナ禍によってそれぞれの地域に分断された身体性のことを考えていた.分断によって気がついたもの.それは我々が土着の文化の中で継承されたDNAのようなものであり,それぞれの文化圏における土着の発酵性から生まれる新しい可能性である.
今我々の周囲にあるもの,そして今我々から距離があるものについて考えたい.東洋的美的感覚と西洋的美的感覚の対比構造,その中にある発酵の意味性の違いに目を向け,成長の限界を超えて,持続可能性との対話に入った今,かつて高度経済成長期にあった科学技術と人間性の調和の夢を反芻する.
電子的に記録された1964年の鐘の響きはこの時代にどう鳴り響くのだろうか5回目のオーケストラ,土着性・民藝性.この時代に醞醸し出される新しい自然の風景を,新しい感覚とともに切り拓き,深化して行きたい.
■落合陽一 × 日本フィルプロジェクトの歩み
・Vol.1《耳で聴かない音楽会》(2018/4/22)
・Vol.2《変態する音楽会》(2018/8/27)
・Vol.3 Part1《耳で聴かない音楽会2019》2019/8/20
・参考映像:Vol.3 Part2 《交錯する音楽会》 (2019/8/27)
・Vol.4《__する音楽会》 (2020/10/13)
落合陽一×日本フィルプロジェクト VOL.5 醸化する音楽会
演出、監修:落合陽一
映像の奏者:WOW
出演:海老原光(指揮)、日本フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
日時:2021/8/11(水) 19:00 開演 / 20:45 終演(予定)
会場:サントリーホール 大ホール
演奏曲目:
黛敏郎:オリンピック・カンパノロジー
伊福部昭:土俗的三連画
和田薫:《交響曲 獺祭~磨migaki~》第2楽章“発酵”
J.シュトラウスⅡ世:シャンパン・ポルカ
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
ペルト:カントゥスーベンジャミン・ブリテンへの哀悼歌
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲《展覧会の絵》より バーバ・ヤガー~キエフの大門
落合陽一(演出・監修)
Yoichi Ochiai,Director
メディアアーティスト。1987年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター センター長、准教授・JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。2015年World Technology Award、2016年PrixArs Electronica、EUよりSTARTS Prizeを受賞。Laval Virtual Awardを2017年まで4年連続5回受賞、2019年SXSW Creative Experience ARROW Awards など多数受賞。近著として「デジタルネイチャー(PLANETS)」、「2030年の世界地図帳(SB クリエイティブ)」、写真集「質量への憧憬(amana)」。「物化する計算機自然と対峙し、質量と映像の間にある憧憬や情念を反芻する」をステートメントに、研究や芸術活動の枠を自由に越境し、探求と表現を継続している。
海老原光(指揮)
Hikaru Ebihara,Conductor
鹿児島生まれ。鹿児島ラ・サール中学校・高等学校、東京芸術大学を卒業、同大学院修了。その後、ハンガリー国立歌劇場にて研鑽を積む。2007年ロブロ・フォン・マタチッチ国際指揮者コンクールで第3位を受賞。指揮を小林研一郎、高階正光、コヴァーチ・ヤーノシュの各氏に師事。2019年、九州シティフィルハーモニー室内合奏団首席指揮者に就任。これまでに、国内主要オーケストラを指揮し、好評を得ている。また、2012年、2015年にクロアチア放送交響楽団の定期公演(ザグレブ)に、2019年にはゲデレー交響楽団(ハンガリー)に客演し、現地で好評を博した。
WOW(ビジュアルデザイン)
WOW,Visual design
東京、仙台、ロンドン、サンフランシスコに拠点を置くビジュアルデザインスタジオ。CMやコンセプト映像など、広告における多様な映像表現から、さまざまな空間におけるインスタレーション映像演出、メーカーと共同で開発するユーザーインターフェイスのデザインまで、既存のメディアやカテゴリーにとらわれない、幅広いデザインワークをおこなっている。
日本フィルハーモニー交響楽団
Japan Philharmonic Orchestra
1956年創立。創立指揮者渡邉曉雄。60年を超える歴史と伝統を守りつつ、さらなる発展を目指し、「オーケストラ・コンサート」、「リージョナル・アクティビティ」、「エデュケーション・プログラム」という三つの柱で活動を行っている。首席指揮者ピエタリ・インキネン、桂冠指揮者兼芸術顧問アレクサンドル・ラザレフ、桂冠名誉指揮者小林研一郎、正指揮者山田和樹という充実した指揮者陣を中心に演奏会を行い、“音楽を通して文化を発信”している。2011年4月より、ボランティア活動「被災地に音楽を」を開始。2021年1月末までに300回を数え、現在も継続している。毎週水曜日22時54分~23時、BS朝日『Welcomeクラシック』出演中。
落合陽一とのプロジェクトにより、カンヌライオンズ2019ミュージック部門(「エンターテイメントライオンズ・フォー・ミュージック」)ブロンズ賞受賞・SDG部門(「サスティナブル・デベロップメント・ゴール」)ショートリスト入選、第72回広告電通賞イノベーティブ・アプローチ部門最高賞・特別賞、日本マーケティング大賞奨励賞、第5回JACEイベントアワード優秀賞を受賞。コロナ禍で現在までに、年間事業数の約半数に及ぶ72公演が中止・延期となった。
落合陽一、日本フィルハーモニー交響楽団 関連記事
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日本フィルと落合陽一が最新テクノロジーを駆使した音楽会を開催―オンライン鑑賞の魅力も探る
10/13 (火)に東京芸術劇場とオンライン上で、「落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団プロジェクトVOL.4」となる《__する音楽会》が開催される。
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日本フィルが落合陽一とタッグを組み、テクノロジーでオーケストラコンサートをアップデート
テクノロジーとオーケストラ――真逆の世界で存在しているように思える両者がコラボレーションする。日本フィルハーモニー交響楽団と筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏が手掛ける『耳で聴かない音楽会 2019』と『交錯する音楽会』が今年8月に開催される。
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