2021年09月17日
『ニュルンベルクのマイスタージンガー』オペラ夏の祭典2019-20、ついに完結!ワーグナーの祝祭的芸術讃歌が高らかに響く

2021/11/18(木)から12/1(水)まで新国立劇場 オペラパレスにて『ニュルンベルクのマイスタージンガー』が開催される。
新国立劇場と東京文化会館が展開する「オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World 」の第2弾。『ニュルンベルクのマイスタージンガー』は、誰しも耳になじみのある勇壮な前奏曲に始まり、活き活きとした人間模様と芸術の理想が壮大に描かれる祝祭感あふれる人気作だ。本公演は新国立劇場、東京文化会館とザルツブルク・イースター音楽祭、ザクセン州立歌劇場の共同制作。ザルツブルクでの初演、ドレスデンでの上演後、2020年の上演予定が中止となったが、待望の上演が実現した。マイヤー、エレートら世界のワーグナー歌手と日本の実力派歌手が贅沢にも集結、大野和士芸術監督指揮により、ワーグナーの芸術讃歌が3年越しとなった「オペラ夏の祭典」を締めくくる。
■花嫁をかけた歌合戦の栄冠は誰の手に?ワーグナーの芸術讃歌
ワーグナーの大作『ニュルンベルクのマイスタージンガー』は、芸術における伝統と革新性の対立、寛大なる父性、年長の男性が若い娘に向ける純愛と諦念などが絶妙な音楽で描かれる、祝祭的作品だ。上演に 大人数と長時間を要す大スケールの作品で、人間味あふれるドラマを通じ、「 伝統に対する敬意と新しいものへの意欲こそ芸術の永遠性を生む両輪である」というワーグナーの芸術讃歌が響く。
東京文化会館及びザルツブルク・イースター音楽祭、ザクセン州立歌劇場との共同制作による本プロダクションの演出は、ドイツ気鋭の演出家イェンス=ダニエル・ヘルツォーク。舞台を“劇場”とし、花嫁をかけた歌合戦をめぐる人間関係の悲喜こもごもが、現代の劇場の人間関係をメタファーに、活き活きと描かれる。
指揮は大野和士芸術監督自らが務め、新国立劇場でも大人気のアドリアン・エレートが、ザルツブルク、ドレスデン公演に続き当たり役ベックメッサーに出演するほか、世界最高峰のワーグナー・バリトンのトーマス・ヨハネス・マイヤー、躍進中のトミスラフ・ムツェック、望月哲也、林正子と華やかなキャスト、そしてマイスター達として日本を代表する男性歌手陣が贅沢にも勢ぞろいして祝祭作を上演する。オーケストラピットには、大野和士が音楽監督を務める東京都交響楽団が入る。
■オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World 第2弾。国内外の劇場と手を携えて展開したオペラの 祭典がついに完結!
オペラ夏の祭典2019-20Japan↔Tokyo↔Worldは、新国立劇場と東京文化会館が各地の劇場と連携して展開してきたオペラプロジェクト。総合プロデュースは東京都の芸術文化評議員も務める大野和士。五輪にちなんでヨーロッパ、アジア、北米、南米、南アフリカ五大陸のオペラを」との大野の発案から、初年の2019年はアジアが舞台の『トゥーランドット』(プッチーニ)を、2020年夏にはワーグナーの祝祭的作品『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を計画。『トゥーランドット』は東京文化会館、新国立劇場で上演後、びわ湖ホール、札幌文化芸術劇場hitaruでも上演され、各地で大いに話題となった。
『ニュルンベルクのマイスタージンガー』はザルツブルク・イースター音楽祭、ザクセン州立歌劇場、東京文化会館との国際共同制作で制作され、ザルツブルクで2019年4月に初演後、ドレスデンで2020年1月~2月に上演された。続いて東京での上演を2020年6月に予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響でいったん中止となり、2021年8月に東京文化会館で、11~12月に新国立劇場で上演されることとなった。3年越しとなったオペラ夏の祭典も、今回の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』新国立劇場公演でいよいよ締めくくりとなる。
※本年8月に予定されていた東京文化会館公演は中止となりました。
<『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ものがたり>
【第1幕】ニュルンベルク。聖カタリーナ教会で騎士ヴァルターはエーファに一目惚れする。ヴァルターは翌日のマイスタージンガーの歌合戦の勝利者がエーファを花嫁にできるとマグダレーネから聞き、自分も歌合戦に参加しようと徒弟のダーヴィットから歌の心構えを聞く。書記ベックメッサーとエーファの父ポーグナーが現れるのでヴァルターは試験を受けたいと頼みこむ。明日の合戦について協議する親方達の前で、ヴァルターは自作の歌を披露する。歌の途中でやはりエーファとの結婚を目論むベックメッサーが非難を口にし始め、靴屋のハンス・ザックスのみが、認めるべき箇所が多いと擁護する。失格となったヴァルターは意気消沈する。
【第2幕】エーファは、騎士の様子を父親に訊ねるが、彼は言葉を濁す。ザックスがエーファを愛する心を歌っていると、当の彼女が現れてヴァルターの出来について聞きだそうとする。エーファのヴァルターへの愛が本物だと知ったザックスは、彼女のために動こうと決心。エーファを訪ねて来たヴァルターはことの次第を悔しげに語り、駆け落ちを迫る。ベックメッサーがエーファの部屋の下でセレナーデを歌おうとすると、ザックスが金槌の音を立てて邪魔をし、エーファの身代わりで窓辺に立つマグダレーネの姿に、彼女と恋仲のダーヴィットが気付いて大騒動に。騒ぎに乗じて家を出ようとしたエーファとヴァルターの前にザックスが飛び出して、騎士を家に引っ張り込み、娘は父親に引き渡す。
【第3幕】翌朝。ザックスは自分の迷いから逃れられない。ヴァルターが夢に見た話を語るので、ザックスはそれを歌にせよと励ます。ベックメッサーが訪ねて来て、ザックスが書き留めたヴァルターの歌を自分のものにしてしまう。エーファはヴァルターとともに、ザックスに感謝の気持ちを表す。歌合戦でベックメッサーが歌いだすが上手く行かず、責任をザックスに被せる。ザックスは同じ歌をヴァルターに歌わせ、皆は彼の歌いぶりに感動する。勝利が決まったヴァルターにザックスが伝統の重みを説き、一同がザックスを讃える。
コンサート情報
◇新国立劇場オペラ『ニュルンベルクのマイスタージンガー』
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉
開催日時:2021/11/18(木)、21(⽇)、24(⽔)、28(⽇)、12/1(⽔) 全5公演 14:00開演
会場:新国立劇場 オペラパレス
指揮:大野和士
演出:イェンス=ダニエル・ヘルツォーク
美 術:マティス・ナイトハルト
衣 裳:シビル・ゲデケ
照 明:ファビオ・アントーチ
振 付:ラムセス・ジグル
演出補:ハイコ・ヘンチェル
【出演】
ハンス・ザックス:トーマス・ヨハネス・マイヤー
ファイト・ポーグナー:ギド・イェンティンス
クンツ・フォーゲルゲザング:村上公太
コンラート・ナハティガル:与那城 敬
ジクストゥス・ベックメッサー:アドリアン・エレート
フリッツ・コートナー:青山 貴
バルタザール・ツォルン:秋谷直之
ウルリヒ・アイスリンガー:鈴木 准
アウグスティン・モーザー:菅野 敦
ヘルマン・オルテル:大沼 徹
ハンス・シュヴァルツ:長谷川 顯
ハンス・フォルツ:妻屋秀和
ヴァルター・フォン・シュトルツィング:シュテファン・フィンケ
ダーヴィット:伊藤達人
エーファ:林 正子
マグダレーネ:山下牧子
夜警:志村文彦
合 唱:新国立劇場合唱団、二期会合唱団
管弦楽:東京都交響楽団
※新型コロナウイルス感染症拡大予防対策を講じた新時代の生活様式を考慮した演出により上演いたします。
※招聘キャストにつきましては、日本への出入国制限の状況により変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。
大野和士(指揮)
Kazushi Ono,Conductor
東京生まれ。東京藝術大学卒。バイエルン州立歌劇場にてサヴァリッシュ、パタネー両氏に師事。1987年トスカニーニ国際指揮者コンクール優勝。
世界各地でオペラ公演及びシンフォニーコンサートで聴衆を魅了し続けている。90~96年ザグレブ・フィル音楽監督。96~2002年バーデン州立歌劇場音楽総監督。92~99年、東京フィル常任指揮者を経て、現在同楽団桂冠指揮者。02~08年モネ劇場音楽監督。12~15年アルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者、08~16年フランス国立リヨン歌劇場首席指揮者を歴任。15年から東京都交響楽団、バルセロナ交響楽団音楽監督。
オペラでは、07年にミラノ・スカラ座にデビューし、メトロポリタン歌劇場、パリ・オペラ座、バイエルン州立歌劇場、グラインドボーン音楽祭、エクサンプロヴァンス音楽祭などへ出演。渡邉暁雄音楽基金音楽賞、芸術選奨文部大臣新人賞、出光音楽賞、齋藤秀雄メモリアル基金賞、エクソンモービル音楽賞、サントリー音楽賞、日本芸術院賞ならびに恩賜賞、朝日賞など受賞多数。紫綬褒章受章。文化功労者。
17年にはリヨン歌劇場がインターナショナル・オペラ・アワード「最優秀オペラハウス2017」を獲得し、フランス政府より芸術文化勲章オフィシエ、リヨン市からリヨン市特別メダルが授与された。18年9月より新国立劇場オペラ芸術監督。新国立劇場では98年『魔笛』、10~11年『トリスタンとイゾルデ』、19年『紫苑物語』『トゥーランドット』、20年『アルマゲドンの夢』、21年『ワルキューレ』『カルメン』を指揮しており、今後は子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ『Super Angels スーパーエンジェル』、21/22シーズン『ニュルンベルクのマイスタージンガー』『ペレアスとメリザンド』を指揮する予定。
イェンス=ダニエル・ヘルツォーク(演出)
Jens-Daniel Herzog,Direction
マンハイム国民劇場演劇監督を経て、2011年~18年ドルトムント歌劇場総監督。18年秋よりニュルンベルク歌劇場監督。マンハイムのほか、18年までチューリヒ劇場、ハンブルク・ターリア劇場、ウィーン・ブルク劇場などで多くの演劇作品を演出し、ベルリン芸術週間、ミュールハイム演劇祭などに招待されている。オペラでは、チューリヒ歌劇場『タンホイザー』『スペードの女王』『オルランド』『遥かなる響き』(シュレーカー)、マンハイムで『コジ・ファン・トゥッテ』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、ニュルンベルク歌劇場『アイーダ』『トスカ』、韓国国立劇場『ハムレット』、フランクフルト歌劇場『ローエングリン』 、ザクセン州立歌劇場『ジュリオ・チェーザレ』、ドルトムント歌劇場『さまよえるオランダ人』『ドン・ジョヴァンニ』『トリスタンとイゾルデ』『リナルド』『オテロ』『アラベッラ』『ナブッコ』などを演出。最近では、ニュルンベルク歌劇場『戦争と平和』『アンナ・ニコル』(ターネジ作曲)『コジ・ファン・トゥッテ』『ドン・カルロ』などを演出している。新国立劇場初登場。
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