2022年01月21日
映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』が遂に公開!実在の楽団にインスパイアされた感動作が誕生!!

映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』が静かに熱い!
世界中で紛争の火種がくすぶり、コロナ以上に不穏な雰囲気になった2021年。2022年を迎えた今、今年はもっと平和な年になってくれるだろうか…。そんな祈りも込めて、みなさんに贈りたい映画が誕生した。2022年1月28日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開(一部異なる地区有り)となる映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』だ。
世界中の映画祭で観客賞を受賞した本作。映画の舞台は、世界で最も解決が難しいとされる紛争が今この時も続くパレスチナとイスラエル。分断する2民族それぞれで音楽家を夢見る若者たちを集めてオーケストラが結成される――。現実にはあり得ない物語に見えるが、実在するユダヤ・アラブ混合の管弦楽団に着想を得たという驚きの本作。楽団結成のためのオーディションを受ける2民族の若者たちの対立と葛藤、恋と友情が繊細に描かれている。
© CCC Filmkunst GmbH
超高層ビルでの優雅なレッスンで音楽家を目指す若者がいれば、片や爆撃音の中でレッスンに励むもオーディションへ向かう検問所では屈辱に脅かされる若者・・・。本作では、そんな環境の違いにある若者たちの姿だけではなく、民族間の対立だけとは限らない現実がつきまとう。
© CCC Filmkunst GmbH
そして、音楽家への道に理解を示す父と頑なに反対する母など、全ての人が応援してくれる訳ではない厳しい現実も――。それでも夢に向かう若者たちの音楽への情熱に触れた時、心が震える。また、南チロルで若者たちが互いのことを話す場面では、「祖父が」「従兄弟が」と自分の近親者の問題として語っていく姿に、遠い昔ではなく、今、現在の話だと考えさせられる場面も多い。それでも一緒に演奏している姿には、一瞬の和平が存在するのだ。本作では、そんなあらゆる場面で彼らに一筋の光を与えてくれるものが音楽。誰もが一度は耳にしたことのあるクラシックの名曲の数々だ。
© CCC Filmkunst GmbH
クラシックを愛する人たちも、そうでない人たちにも、そして特に演奏する若者たちと同世代の人たちに届けたい作品、映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』。最後に投げかけられるこの想い…争いか?平和か?決めるのは僕たちだ―。2022年、新しい年の幕開けに本作を観て、家族・友人・恋人・同僚たちと語り合ってみるのもいいかもしれない。
文/映画ライター 山口由美子
『クレッシェンド 音楽の架け橋』に登場する名曲たち
本作を見ていると、使われるどの楽曲も普段聴くのとはちょっと趣が違って聴こえてくるだろう。ここでは、そんな映画を彩る名曲たちをご紹介!
「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調より《前奏曲》」
J・S・バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」は全部で6作あるがいずれも超絶技巧の難曲でよくヴァイオリンのオーディションの課題にもなる。パレスチナのレイラ(サブリナ・アマーリ)が弾くそれは上手いのだが、常にイライラして緊張しているようにも聴こえる。それはこの作品のトーンとなって終盤まで「きっと何かが起こる」という緊張が持続する。
「管楽セレナード Op.44」
ドヴォルザークの伸びやかな音が美しい管楽。イスラエル側のリーダー格のロン(ダニエル・ドンスコイ)が指揮者にイスラエル側の仲間をさり気なく増やそうと画策する時の曲。せっかくの曲がその企みのせいで何となく不誠実に聴こえるのが残念。
「カノン ニ長調」
バッヘルベルの最もよく知られたメロディのひとつ。初めての練習でカノン(同じ音楽を重ねて演奏)をイスラエル人とパレスチナ人が演奏する。最初は恐る恐るな感じだが次第に音楽が出来てくる。少しは理解しあえるかも、と希望が垣間見える場面。
「交響曲第9番『新世界より』」第2楽章
新世界とはアメリカのことだが日本人にとっては「家路」と言った方がピンと来る。この曲を聴くと故郷や我が家を思い出すという方も多いだろう。だが、ここでの故郷、我が家という言葉はイスラエル、パレスチナ双方にとって痛みと覚悟を伴って語られる。それでも故郷、我が家は懐かしく優しい。
「四季」より〔冬〕
ヴィヴァルディの有名な曲「四季」。〔春〕や〔夏〕ではなく、〔秋〕でもなく、〔冬〕。暖かい(暑い)中東の物語とは思えない、寒風吹き荒ぶイメージ。ソリスト(ヴァイオリンの独奏)とオーケストラが対立する場面など緊張感はさらに増す。反目と協調を巧みに織り込む曲想がメンバーの心情にぴったり。
「ボレロ」
ラヴェルの傑作。同じ旋律が、しかし少しずつ変化しながら次へと音楽を渡していく。しかも徐々に音量も大きく(クレッシェンドはだんだん強く、の意)なっていく。本作を象徴する一曲。また、「ボレロ」とタイトルがついた映画も想起される。
文/映画ライター 山口由美子
モデルとなった管弦楽団について
ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団
(West-Eastern Divan Orchestra)
ユダヤ系指揮者のダニエル・バレンボイムと、パレスチナ系文学者のエドワード・サイードによって、1999年に設立されたオーケストラ。 楽団の名称はドイツ人作家ゲーテの著作『西東詩集』(West-östlicher Divan)から命名。ゲーテの精神に倣い、イスラエルとアラブの音楽家が集まって演奏する。
主な活動はバレンボイムの指揮でオーケストラのリハーサルをし、サイードの指導でディスカッションを行なうというものだった。2003年にサイードが死去してからも、「共存への架け橋」の理念を掲げて、バレンボイムを指導者として、現在も世界中で音楽活動を続けている。2005年にはパレスチナ自治区ラマラにて、厳戒態勢の中で演奏会を実施し、大きな感動を呼び起こした。2007年にバレンボイムが国連平和大使に任命され、管弦楽団は2016年に“文化理解のための国連グローバル・アドボケイト”に指定された。
ダニエル・バレンボイム
(Daniel Barenboim / 1942年11月15日~)
ロシア系ユダヤ人。現代屈指の巨匠指揮者、ピアニスト。
祖父母の代にアルゼンチン・ブエノスアイレスへ移民し、1952年に両親と共にイスラエルへと移住。7歳で演奏会デビュー、20歳で指揮者デビューを果たす。1970年代からパリ管弦楽団、シカゴ交響楽団、ベルリン国立歌劇場で音楽監督などを歴任。現在、ベルリン国立歌劇場音楽総監督、ミラノ・スカラ座客演指揮者、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団創立者兼指揮者。2021年6月、16年ぶりに日本でピアノリサイタルを行った。
エドワード・サイード
(Edward Wadie Said / 1935年11月1日~2003年9月25日)
パレスチナ系アメリカ人。文学研究者、文学批評家、コロンビア大学英文学・比較文学教授。
イギリス委任統治下のエルサレムでパレスチナ人として生まれ、主にエジプト・カイロで育つ。家族はイギリスの影響を強く受けたアラブ人キリスト教徒。10代でアメリカに渡り、市民権を手に入れた後にパレスチナとエジプトに戻る。主著の「オリエンタリズム」でオリエンタリズムとポストコロニアルの理論を確立。音楽についても膨大なエッセイを書き、ピアニストとしても活躍した。
『クレッシェンド 音楽の架け橋』映画情報
1月28日 (金) より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋 ほか全国公開
ストーリー
世界的に有名な指揮者のエドゥアルト・スポルク(ペーター・シモニシェック)は紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くというプロジェクトを引き受ける。オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越え、音楽家になるチャンスを掴んだ20余名だが、憎み合う双方は激しくぶつかり合う。南チロルでの21日間の合宿で少しずつ心の壁を溶かしていくがコンサート前日、想像もしなかった事件が起きるーー。
スタッフ&キャスト
監督:ドロール・ザハヴィ
脚本:ヨハネス・ロッター、ドロール・ザハヴィ
出演:ペーター・シモニシェック(『ありがとう、トニ・エルドマン』)、
ダニエル・ドンスコイ(「ザ・クラウン」「女王ヴィクトリア愛に生きる」)、サブリナ・アマーリ 他
その他
2019年/ドイツ/英語・ドイツ語・ヘブライ語・アラビア語/112分
原題:CRESCENDO #makemusicnotwar
配給:松竹
© CCC Filmkunst GmbH
公式サイト
映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』公式サイト
http://movies.shochiku.co.jp/crescendo/
上映劇場
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=tDnhYacT
※一部地域・劇場では公開日が異なります。詳細は上記より事前にご確認ください
◆ ひびクラシック 公式Twitterフォロー&RT プレゼントキャンペーン
抽選で3名様に 映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』ムビチケ前売券(オンライン)をプレゼント!
映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』の公開を記念して、抽選で3名様に映画『クレッシェンド 音楽の架け橋』ムビチケ前売券(オンライン)が当たる、ひびクラシック 公式Twitterフォロー&RT プレゼントキャンペーンを実施いたします。
【応募期間】
2022年1月21日 (金) ~1月29日 (土) 23:59
【応募方法】
①「ひびクラシック(@hibiclassic)」の公式Twitterアカウントをフォロー
② 下記キャンペーンツイートをRTで応募完了
争い💥を超えた演奏🎻がここにある!
実話から生まれた感動作✨1/28(金)公開記念🎉
映画「#クレッシェンド音楽の架け橋」
ムビチケ前売券(オンライン)を抽選で3名様に🎁🎼応募方法🎼
①@hibiclassic をフォロー
②こちらのツイートをRT
締切:1/29(土)詳しくは⬇https://t.co/GOaYk4Lery#映画 pic.twitter.com/UXKfSqp6PU
— ひびクラシック (@hibiclassic) January 21, 2022
【抽選結果の発表】
応募締切・抽選の後、当選者に対してのみ、当選結果を 2/4 (金) までに、Twitterのダイレクトメッセージ(DM)機能でご連絡いたします。
プレゼントのお受け取りご了承の有無は、DMに記載の期日までにお知らせ下さい。お知らせが期日までに無い場合は当選が無効となります。あらかじめご了承ください。
※ 当選者の発表は厳正なる抽選の上、当選のご連絡および賞品の発送をもって代えさせて頂きます。
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