2019年01月25日
小林沙羅 岡本侑也が受賞決定 第20回『ホテルオークラ音楽賞』

ホテルオークラ東京が、音楽分野のメセナ活動の象徴的イベントとして毎年選出している『ホテルオークラ音楽賞』。1996年から将来を嘱望される音楽家の支援を目的に、選考委員による厳正なる審査を行い、毎年2組の演奏家に賞を授与、ホテルの公共性を活かした無料の受賞記念演奏会を開催している。
第20回の受賞者は、小林沙羅(ソプラノ)と岡本侑也(チェロ)に決定した。
2019/3/22(金)には、ホテルオークラ東京 宴会場にて授賞式と受賞記念演奏会がホテル会員プログラム One Harmony 会員 限定で開催される。
受賞者プロフィール
小林沙羅(ソプラノ)
©NIPPON COLUMBIA
東京藝術大学卒業、同大学院修了。第27回(2016年度)出光音楽賞受賞。2010~2015年ウィーンとローマにて研鑽を積む。2006年に国内デビュー後、数多くのオペラやコンサートで活躍。2012年ブルガリア国立歌劇場『ジャンニ・スキッキ』ラウレッタ役で欧州デビュー。
岡本侑也(チェロ)
©Shigeto Imura
2017年エリザベート王妃国際音楽コンクールのチェロ部門第2位・イザイ賞、第80回(2011年)日本音楽コンクールのチェロ部門第1位。第16回(2017年)齋藤秀雄メモリアル基金賞、第28回(2017年度)出光音楽賞受賞。ミュンヘン音楽大学大学院でJ.シュテッケル氏に師事。
<選評> 寺西基之(音楽評論家)
小林沙羅(ソプラノ)
小林沙羅さんは天性の歌声ともいえるような美しい声で早くから注目を浴びた。しかし天性の声だけでは優れた本格的な歌手になれないことは勿論である。小林さんの歌には、詞の意味をしっかりと捉えつつ、曲にふさわしい表現を綿密に作り上げていこうとする知的な姿勢が常にうかがえる。透明な軽やかさや広がりある叙情美から、濃密な厚み、豊かな情感表出、芯の通った力強さ、劇的な激しさにいたるまでの彼女の表現力の幅広さは、そうした姿勢あってこそのものだろう。そのような知的なアプローチでもって充分に表現を練り上げているからこそ、天性の声が生かされ、その歌があたかも本然的に湧き上がってくるような魅力を発するのだといってよい。同じことはオペラにおける小林さんの演技にもいえることで、自分の演じる役柄を充分に掘り下げ、役になりきってその性格と感情を表わし出す演技力は高く評価されよう。まさに真の歌姫というにふさわしい逸材である。
岡本侑也(チェロ)
岡本侑也さんは2017年に世界的な大コンクールであるエリザベート王妃国際コンクールに初めて設けられたチェロ部門で見事2位に輝いたことで、一般に広くその名が知られるようになった。しかしそれ以前から彼の演奏に接していた人は皆、この快挙を当然のことと受け止めたはずである。それほどに岡本さんは若手チェリストの中でも抜きん出た存在だ。どんな難曲を弾いてもその難しさを聴く者に微塵も感じさせないほどの研ぎ澄まされた技巧の持ち主だが、決して自分をひけらかすことなく、作品に対する謙虚な姿勢のもと、自分が作品と一体化するかのように、自然な流れの中に豊かな表情の息づく音楽を奏でるところがすばらしい。昨年のリサイタルでは彼が難解な現代曲を暗譜で淀みなく弾くのに驚かされたが、複雑な曲をも暗譜するほどに彼は自分の演奏する作品を完全に手の内に収めているのである。今後どのようにさらなる進化をみせてくれるのか、楽しみでならない。
■ホテルオークラ音楽賞とは
ホテルオークラ東京の社会貢献・芸術文化事業の一環として1996年の開業35周年を機に、近年めざましい活躍をされ、さらに将来が嘱望される音楽家を支援・育成するための制度として創設。
1996年に第1回、2000年に第2回と開催、2000年以降は音楽家支援強化のため、同賞の授賞式および受賞記念演奏会を毎年実施している。

発売日 : | 2017/08/05 |
レーベル : | Arte Verum |
フォーマット : | CD |
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