2019年03月23日
熊川哲也Kバレエ×バッティストーニ東京フィル「カルミナ・ブラーナ」世界初演

Kバレエ カンパニーと東京フィルハーモニー交響楽団による熊川哲也の新作バレエ「カルミナ・ブラーナ」が2019/9/4(水)・5(木)にBunkamuraオーチャードホールにて世界初演される。それに先立ち、都内で記者懇談会が行われ、熊川哲也が登壇した。イタリアの若き天才指揮者アンドレア・バッティストーニとの共演ということもあり、クラシックファンにとっても見逃せない公演となっている。
本作はBunakamura30周年記念フランチャイズ特別企画で、オーチャードホールの芸術監督である熊川哲也が構成・演出・振付を担当。カール・オルフの代表作であり『おお、運命の女神よ』で知られる「カルミナ・ブラーナ」にオリジナルの物語を付け、開館当時よりフランチャイズ契約を結ぶ東京フィルと、2018年より新たに仲間に加わったKバレエが、音楽×舞踊の前人未到の領域に挑戦する。
この新作を具現化するために参加するオーケストラ、歌手、合唱、ダンサーは総勢250名を超える。“楽器群と魔術的な場面を伴って歌われる、独唱と合唱の為の世俗的歌曲”という副題が示す通り、本来は舞踊を伴う舞台作品としての上演が前提に作曲された本作を、演奏会形式ではなく今回のような形で楽しめる機会はなかなか無い。
まさにオルフの原案を実現するともいえる今回の公演を、熊川は「いつか着手しようと思っていた作品なので、上演できることを大変嬉しく思う。全曲を聴き終わった瞬間に、バレエ作品として構築するためのアイディアが溢れ、たった1時間で全曲の構想をまとめてしまった」と語った。
熊川哲也
そのアイデア溢れる舞台を彩るのがジャン=マルク・ピュイッソンの衣装・美術。シュツットガルト・バレエ団などで活躍した元ダンサーで、デザイナーに転向し世界中で活躍しているという天才的才能を持つ。熊川とは今回が初のコラボレーションになるが「彼の世界観が今回の『カルミナ・ブラーナ』にとても合っていると感じました。実際に会って構想について話したらすぐにそれを受け入れてくれた。彼のアーティスティックな面が良い作用を生んでくれるだろうと確信したんです」と期待を寄せた。
また、バレエという総合舞台芸術には、音楽がもちろん欠かせない要素となる。熊川は、アンドレア・バッティストーニについて「これからさらに世界に名を馳せるだろう、将来有望な指揮者だと感じている。本作の世界観を今後さらに吸収し、共に良い作品を創りたい」と述べるとともに、オーケストラはピットで演奏、また合唱の配置に関しては検討し、舞台だけでなく音楽に関しても工夫を凝らしていくと明言した。
“女神フォルトゥーナの子は、悪魔であった”という衝撃的な展開で始まる本作のストーリーからは前衛的な舞踊を想像するかもしれないが、今回はあくまでもクラシックバレエの要素を取り入れるとのこと。それに関して熊川は「クラシックバレエの形式美というのは絶対不滅な変わることのない芸術。それに今まで取り組んできた僕は、クラシックバレエに恩返ししなければならないと考えているんです」と述べ、あくまでもクラシックバレエが基盤となることを強調した。
Kバレエのレパートリーである古典作品、そして「クレオパトラ」「カルメン」「第九」など数々のオリジナル作品に取り組んできた熊川にとって、これまでの集大成といえる作品になることは間違いないだろう。
熊川哲也とバッティストーニのコラボレーションがどういった化学反応を起こすのか期待が高まる。
Bunkamura30周年 フランチャイズ特別企画
K-BALLET COMPANY/東京フィルハーモニー交響楽団
熊川版 新作『カルミナ・ブラーナ』世界初演
日程・会場
2019/9/4(水)・5(木)19:00 Bunkamuraオーチャードホール(東京)
構成・演出・振付
熊川哲也
音楽
カール・オルフ
衣装・美術デザイン
ジャン=マルク・ピュイッソン
出演
バレエ:K-BALLET COMPANY
指揮:アンドレア・バッティストーニ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ソリスト歌手:今井実希(ソプラノ)、藤木大地(カウンターテナー)、与那城敬(バリトン)ほか
プレリク先着先行
2019/3/24(日)12:00~30(土) 23:59
一般発売日
2019/3/31(日)10:00
熊川哲也(構成・演出・振付)
Tetsuya Kumakawa
Kバレエ カンパニー/Bunkamuraオーチャードホール 芸術監督
北海道生まれ。10歳よりバレエを始める。1987年、英国ロイヤル・バレエ学校に入学。89年、ローザンヌ国際バレエ・コンクールで日本人初のゴールド・メダルを受賞。ヨーロピアン・ヤング・ダンサーズ・オヴ・ザ・イヤー・コンクール(パリ)でも金賞を受賞。同年、東洋人として初めて英国ロイヤル・バレエ団に入団し、同団史上最年少でソリストに昇格。93年、プリンシパルに任命された。在団中にボリショイ・バレエ団の『ジゼル』をはじめ各国のバレエ団に客演。96年から98年にはセルフ・プロデュース公演「Made in LONDON」を開催している。
98年に英国ロイヤル・バレエ団を退団し、99年、Kバレエ カンパニーを創立。これまでに、プティ振付『カルメン』、マクミラン振付『三人姉妹』、自身のプロダクション『ジゼル』『眠れる森の美女』『白鳥の湖』『コッペリア』『ドン・キホーテ』『くるみ割り人形』『海賊』『ロミオとジュリエット』『シンデレラ』『ラ・バヤデール』『カルメン』などを上演。2004年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場にてアシュトン振付『ラプソディ』を踊り高い評価を受ける。2006年、上海大劇院にて『ドン・キホーテ』を上演・主演。振付作品には、『ベートーヴェン 第九』『ウォルフガング』『パッシング・ヴォイス』『シンプル・シンフォニー』、2017年には完全オリジナル作品『クレオパトラ』世界初演の成功をおさめる。
2004年、『白鳥の湖』の演出/振付/出演に対し、第3回朝日舞台芸術賞を受賞。2005年、第55回芸術選奨 文部科学大臣賞(舞踊部門)を受賞。2006年、Kバレエ カンパニーとして『ドン・キホーテ』『くるみ割り人形』の舞台成果に対し、第5回朝日舞台芸術賞を受賞。2012年1月、Bunakamuraオーチャードホール芸術監督に就任。2015年、日本におけるバレエ教育や人材育成に大きな功績を残したと評価され、「第24回モンブラン国際文化賞」を受賞。2018年、『クレオパトラ』の振付・演出に至る長年の功績に対し、毎日芸術賞特別賞を受賞。2013年、紫綬褒章受章。
アンドレア・バッティストーニ(指揮)
Andrea Battistoni
東京フィルハーモニー交響楽団 首席指揮者
1987年ヴェローナ生まれ。アンドレア・バッティストーニは、国際的に頭角を現している同世代の最も重要な指揮者の一人と評されている。2013年ジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ歌劇場の首席客演指揮者、2016年10月東京フィル首席指揮者に就任。
『ナブッコ』『リゴレット』(二期会)、グランドオペラ共同制作『アイーダ』のほか、ローマ三部作、『展覧会の絵』『春の祭典』等数多くの管弦楽プログラムで東京フィルを指揮。東京フィルとのコンサート形式オペラ『トゥーランドット』(2015年)、『イリス(あやめ)』(2016年)、『メフィストーフェレ』(2018年)で批評家、聴衆の双方から音楽界を牽引するスターとしての評価を確立。同コンビで日本コロムビア株式会社より9枚のCDをリリース。
スカラ座、ヴェニス・フェニーチェ劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、スウェーデン王立歌劇場、アレーナ・ディ・ヴェローナ、バイエルン国立歌劇場、マリインスキー劇場等、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管、イスラエル・フィル等世界の主要歌劇場・オーケストラと共演を重ねている。2017年には初の著書『マエストロ・バッティストーニの ぼくたちのクラシック音楽』を音楽之友社より刊行。2013年ジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ歌劇場の首席客演指揮者、2016年10月より東京フィル首席指揮者に就任。
Kバレエ カンパニー(バレエ)
K-BALLET COMPANY
1999年、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして世界の頂点を極めたバレエダンサー熊川哲也が、自ら芸術監督を務めるKバレエ カンパニーを設立。設立当初当初より古典全幕作品を中心としたレパートリーに意欲的に挑み、熊川自身が古典に対して抱いてきた敬意と理想を形にしたプロダクションを「熊川版」として次々と発表。『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』といった古典バレエの名作をはじめ、オペラ原作の『カルメン』、台本・音楽から全ての構成を手掛けた完全オリジナル作品『クレオパトラ』を全幕バレエとして初演。そのレパートリーは全幕だけでも12作品を数えるほか、アシュトン、バランシン、プティなど世界的振付家の作品などレパートリーは多岐にわたる。2005年には、専属オーケストラとしてシアター オーケストラ トーキョーを設立。カンパニーの成長と発展は、国内外での評価にも顕著に結び付き、クラシック・バレエ界として初の朝日舞台芸術賞受賞や、海外では、2004年NYのメトロポリタン歌劇場で開催された「アシュトン記念公演」に招聘されている。また、2015年1月からは「ローザンヌ国際バレエ・コンクール」に日本のバレエ団で初めてオフィシャルパートナーカンパニーとして提携。本物のバレエ教育の振興のために2003年に設立したKバレエ スクールも現在全国に6校を展開し、国内外で活躍するプロのダンサーを生み出している。2019年に設立20周年という節目を迎え、熊川が築き上げてきた確たる基盤のもと、世界的文化価値を継承するプロフェッショナルカンパニーとして、進化し続けている。2018年、Bunkamuraオーチャードホールとフランチャイズ契約を締結。
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
Tokyo Philharmonic Orchestra
1911年創立。日本で最も長い歴史をもつオーケストラ。メンバー約130名、シンフォニーオーケストラと劇場オーケストラの両機能を併せもつ。名誉音楽監督にチョン・ミョンフン、首席指揮者にアンドレア・バッティストーニ、特別客演指揮者にミハイル・プレトニョフを擁する。
Bunkamuraオーチャードホール、東京オペラシティ コンサートホール、サントリーホールでの定期演奏会や「平日の午後のコンサート」「休日の午後のコンサート」等の自主公演、、新国立劇場等でのオペラ・バレエ演奏、『名曲アルバム』『NHKニューイヤーオペラコンサート』『題名のない音楽会』『東急ジルベスターコンサート』などの放送演奏、各地学校等での訪問コンサート等により、全国の音楽ファンに親しまれる存在として、高水準の演奏活動とさまざまな教育的活動を展開している。海外公演も積極的に行い、国内外から高い評価と注目を得ている。
1989年からBunkamuraオーチャードホールとフランチャイズ契約を結んでいる。また東京都文京区、千葉県千葉市、長野県軽井沢町、新潟県長岡市と事業提携を結び、各地域との教育的、創造的な文化交流を行っている。

発売日 : | 2009/11/11 |
レーベル : | ユニバーサル ミュージック |
フォーマット : | CD |

発売日 : | 2014/02/19 |
レーベル : | 日本コロムビア |
フォーマット : | SACD |

発売日 : | 2017/10/18 |
レーベル : | 日本コロムビア |
フォーマット : | Hi Quality CD |
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