2019年04月04日
「英国ロイヤル・オペラ」パッパーノとともに4年ぶりの来日

欧州の名門歌劇場「英国ロイヤル・オペラ」が名指揮者アントニオ・パッパーノとともに2019年9月に来日する。ロイヤル・オペラは、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場と並ぶ世界五大歌劇場のひとつで、いま世界で最も勢いのある歌劇場。今回の来日では、グノー『ファウスト』とヴェルディ『オテロ』を上演する。
1732年に設立されて以来、幅広い作品をレパートリーとしながら発展してきたロイヤル・オペラ。ウィーンやイタリア、ドイツの歌劇場が自国の作曲家の作品に重点を置いて発展してきたのと異なり、伝統に固執せず、新しいアイデアを取り入れる姿勢は“演劇の国”の劇場文化に根ざした英国ならではのものである。
21世紀に入り、この歌劇場を導いてきたのが2002年から音楽監督を務めるアントニオ・パッパーノ。今回の来日では、彼が17年かけて築き上げたオペラの真骨頂を体感できる。
また、今年9月のロイヤル・オペラの日本公演から、日英交流年「UK in Japan 2019-2020」がスタート。パッパーノ音楽監督のもと、いま絶好調のロイヤル・オペラは高貴な光を放ちながら、威風堂々4年ぶりの来日を果たす。
C.F.グノー作曲『ファウスト』全5幕
ドイツの文豪ゲーテの戯曲をもとにつくられたフランスの作曲家グノーの代表作。ゲーテの原作には「時よ止まれ、お前は美しい」というファウストの有名な言葉がある。人生の最高に素晴らしい瞬間が、永遠に留まってくれと願うが、この『ファウスト』には誰もがそう祈る瞬間が必ず訪れるに違いないだろう。
日時・会場
2019/9/12(木) 東京文化会館
2019/9/15(日) 東京文化会館
2019/9/18(水) 東京文化会館
2019/9/22(日) 神奈川県民ホール
出演
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:デヴィッド・マクヴィカー
ファウスト:ヴィットリオ・グリゴーロ
メフィストフェレス:イルデブランド・ダルカンジェロ
マルグリート:レイチェル・ウィリス=ソレンセン
ロイヤル・オペラ合唱団
ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
G.ヴェルディ作曲『オテロ』全4幕
シェイクスピアを“人間の心の巨匠”と称えた歌劇王ヴェルディが最後にたどり着いたオペラの頂点というべき大傑作。シェイクスピアを生んだ英国は演劇の国だが、この英国人演出家のキース・ウォーナーが手がけた『オテロ』こそ、現在のロイヤル・オペラの真価を発揮できる絶対の自信作である。
日時・会場
2019/9/14(土) 神奈川県民ホール
2019/9/16(月・祝) 神奈川県民ホール
2019/9/21(土) 東京文化会館
2019/9/23(月・祝) 東京文化会館
出演
指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:キース・ウォーナー
オテロ:グレゴリー・クンデ
ヤーゴ:ジェラルド・フィンリー
デズデモナ:フラチュヒ・バセンツ
ロイヤル・オペラ合唱団
ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
アントニオ・パッパーノ[指揮]
Sir Antonio Pappano
2002年から英国ロイヤル・オペラ音楽監督。これまでにモーツァルト、ヴェルディ、ワーグナー、プッチーニ、R.シュトラウス、ラヴェル、ベルク、ショクタコーヴィチ、ブリテンのほか、バートウィスル作曲『ミノタウロス』(2008)、タネジ作曲『アンナ・ニコール』(2011)の世界初演も含む幅広い作品を指揮している。また、バレエでも指揮をとっている。2018/19年シーズンには、《ニーベルングの指環》、ヴェルディ『レクイエム』、『スペードの女王』、『運命の力』、オーケストラ・コンサートを指揮。
イタリア人の両親のもとロンドンに生まれたパッパーノは、幼いころから父親の生徒のためにピアノを弾いていたという。10代の頃、家族とともにアメリカに移り、21歳の時、ニューヨーク・シティ・オペラでコレペティートルとして働いたことから、オペラと演劇への関心を高めた。その後、バルセロナのリセウ劇場、フランクフルト歌劇場、シカゴ・リリック・オペラで仕事をし、バイロイト音楽祭ではダニエル・バレンボイムのアシスタントを務めた。
1987年にオスロのノルウェー歌劇場で指揮者としてデビュー。その3年後に英国ロイヤル・オペラにデビューを果たした。32歳でブリュッセルの王立モネ劇場の音楽監督に任命された(1992年就任2002年まで)。2005年から はサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の音楽監督も務めている。
ウィーン国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、バイロイト音楽祭、サンフランシスコ・オペラ、シカゴ・リリック・オペラ、シャトレ座、ベルリン国立歌劇場、ザルツブルク音楽祭、ミラノ・スカラ座など・コンサートの指揮、さらにピアニストとしての数々の録音も行うなど、幅広く活躍している。
2018/19年のシーズン終了を迎えると、英国ロイヤル・オペラ音楽監督として最長の在任となるが、昨秋、さらに2022/23年シーズンまでの契約延長が発表された(2020/21年の1シーズンは除く)。
ファウスト:ヴィットリオ・グリゴーロ[テノール]
Vittorio Grigolo
2010年に『マノン』のデ・グリューで英国ロイヤル・オペラにデビューした。以来、『ファウスト』のタイトルロール、『椿姫』のアルフレード、『リゴレット』のマントヴァ公爵、『ボエーム』のロドルフォ、『愛の妙薬』のネモリーノ、『ホフマン物語』のタイトルロールを歌っている。
アレッツォで生まれ、ローマで育った。ローマのシスティーナ教会合唱団ではソリストを務めた。オペラ・デビューはローマ歌劇場での『トスカ』の羊飼いだった。
23歳のとき、ミラノ・スカラ座に最年少テノールとして登場。以来、『ホフマン物語』と 『ウェルテル』のタイトルロール、『ランメルモールのルチア』のエドガルド、『ロメオとジュリエット』のロメオなどを歌い、チューリヒ歌劇場、メトロポリタン歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ローマ歌劇場、シドニー・オペラハウスなど世界中の名門歌劇場で活躍している。これまでに共演した指揮者には、リッカルド・シャイー、ズービン・メータ、リッカルド・ムーティ、チョン・ミョンフン、グスターヴォ・ドゥダメル、アントニオ・パッパーノ、ロリン・マゼールなどがいる。
録音も多く、デビュー・アルバムのビルボード・クラシック部門第1位を獲得ほか、『ウエスト・サイド・ストーリー』のCDはグラミー賞にノミネートされた。テレビへの出演も多く、チューリッヒ中央駅で上演された『椿姫』や、マントヴァの『リゴレット』は世界中にライヴ中継された。この『リゴレット』では、タイトルロールのプラシド・ドミンゴとの 共演だった。
オテロ:グレゴリー・クンデ[テノール]
Gregory Kunde
2016年に『イル・トロヴァトーレ』のマンリーコで英国ロイヤル・オペラにデビューした。同役での再演のほか、2017年には『オテロ』のタイトルロールで舞台に登場している。
イリノイ州カンカキーで生まれ、イリノイ州立大学で合唱指揮、声楽を学んだ。
1978年にシカゴ・リリック・オペラで『オテロ』のカッシオを歌ってオペラ・デビュー。以後、メトロポリタン歌劇場、パリ・オペラ座、シャトレ座、シャンゼリゼ劇場、オーストラリア・オペラ、マドリッドのテアトロ・レアル、パラウ・デ・ラ・アーツ、ミラノ・スカラ座、フェニーチェ劇場、パレルモのマッシモ劇場、アン・デア・ウィーン劇場、バルセロナのリセウ劇場などで歌っている。フランス、イタリアもののスペシャリストと認められるほか、ヴェルディの『オテロ』のタイトル・ロール、『湖上の美人』のロドリーゴ、『ノルマ』のポリオーネ、『ユグノー教徒』のラウール、『ルイザ・ミラー』のロドルフォ、『シチリア島の夕べの祈り』のアッリーゴ、『仮面舞踏会』のリッカルド、『運命の力』のドン・アルヴァーロ、『アイーダ』のラダメス、『アフリカの女』のヴァスコ・ダ・ガマ、『ファウストのごう罰』のファウスト、『トロイ人』のエネー、『サムソンとデリラ』のサムソン、『マノン・レスコー』のデ・グリュー、『カヴァレリア・ルスティカーナ』のトゥリッドウ、『道化師』のカニオなど、幅広いレパートリーをもつ。
2013年にはアントニオ・パッパーノ指揮、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団演奏会形式『ピーター・グライムズ』で歌った。ヨーロッパ各地でコンサート、リサイタルを開催。受賞も多く、近年では2016年の国際オペラ賞ベスト男性歌手があげられる。

発売日 : | 2018/05/11 |
レーベル : | Sony Classical *cl* |
フォーマット : | Blu-ray Disc |

発売日 : | 2011/12/07 |
レーベル : | 日本コロムビア |
フォーマット : | Blu-ray Disc |

発売日 : | 2013/11/22 |
レーベル : | Opus Arte *classic* |
フォーマット : | Blu-ray Disc |
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