2019年06月03日
東京二期会『2020/2021 シーズンラインアップ』記者会見レポート

日本最大のオペラ団体『東京二期会』の2020/2021シーズンラインアップ記者会見が行われ、二期会幹事長:黒田博(バリトン)、二期会会員:森谷真理(ソプラノ)らが登壇した。(写真は左から、常務理事 兼 事務局長:山口毅、理事長:韮澤弘志、二期会会員:森谷真理、二期会幹事長:黒田博)
理事長の韮澤弘志は、東京二期会について「1952年に設立され、現在2,700名の歌手を擁する世界有数の団体です。今まで多くの公演をお届けしてきた中で、何よりアンサンブルを大切にしてきました。他を認め、個性を大切にするというこの姿勢はグローバル化する今の時代にふさわしい」と語り、二期会にしかない歌をお客様に届けることができるだろうと期待を示した。
韮澤弘志
常務理事 兼 事務局長の山口毅は、今回のシーズンのテーマは「苦悩を得て歓喜に至る」であると発表。ベートーヴェンの『フィデリオ』に始まり、喜劇の『ファルスタッフ』で終わるラインナップは全て新制作だ。
『フィデリオ』は2020年のベートーヴェン生誕250周年を記念する作品。指揮に二期会初登場のダン・エッティンガーを迎える。ドイツ作品が得意な彼は2010年~2015年まで東京フィルの常任指揮者を務めていたことでも知られている。また、演出は二期会『ダナエの愛』『ローエングリン』で好評を得た深作健太。
次にレハールのオペレッタ『メリー・ウィドー』。台詞も歌詞も日本語で上演される。指揮は、第18回東京国際音楽コンクール第1位の沖澤のどか。『金閣寺』で副指揮者を務めた経験もあり、オペラへの造詣も深い。演出の眞鍋卓嗣は劇団俳優座文芸演出部所属でオペラも多く手掛けており、期待が高まる。
そして、2021年にはワーグナーの『タンホイザー』。リヒャルト・シュトラウスやワーグナーを得意とする読響に、日本デビューとなる指揮者アクセル・コーバーを迎える。バイロイト音楽祭に5年連続で出演するドイツ本流の音楽をお楽しみいただけるだろう。演出はイギリスの鬼才キース・ウォーナー。「トーキョー・ リング」(2001年から2004年にかけて新国立劇場で上演され、話題を呼んだ「ニーベルングの指環」)を超える作品となることは間違いない。
3年に1度の「二期会ニューウェーブ・オペラ劇場」ではヘンデルの作品を取り上げる。鈴木秀美の指揮でニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウが演奏。ピリオド楽器を使った音楽で、期待の若手たちのフレッシュな歌声を堪能できる。
最後に、ヴェルディの『ファルスタッフ』。テアトル・レアル、ベルギー王立モネ劇場、フランス国立ボルドー歌劇場との共同制作となる。指揮はベルトラン・ド・ビリー。ウィーン放送交響楽団音楽監督として話題を呼び、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン・オペラなどからたびたび招かれている。演出は二期会初登場のロラン・ペリー。サイトウ・キネン・フェスティバル松本で存在を示し、活躍を続ける演出家だ。
東京二期会幹事長のバリトン歌手、黒田博は「今は新しい時代の幕開け。斬新な演出や新たな解釈で、今まで観たことのないようなオペラをお楽しみいただけると思います」と語り、自身が出演する作品に関しても素晴らしい作品にしていきたいと意欲を見せた。
黒田博
ソプラノの森谷真理は、数々のタイトルロールや重要な役を演じる中で「今、若手が本当に凄いんです。見ていて自分も参考になることがたくさんある。5年後、10年後に最前に立つであろう歌手たちを是非探しに来てください」と語り、オペラに登場する多くの役柄にも注目してほしいと述べた。
森谷真理
まさに今をときめく歌手の宝庫である東京二期会。オペラファンも、これから観てみたいという方も魅了されてしまうような演目が揃っており、見逃すことはできない。
東京二期会 2020-21シーズンラインナップ
2020年
9月オペラ『フィデリオ』(新制作)
【日本語字幕付原語(ドイツ語)上演】
作曲:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
公演日:2020/9/3(木)、4(金)、5(土)、6(日)
指揮:ダン・エッティンガー
演出:深作健太
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
会場:新国立劇場オペラパレス
主催:公益財団法人東京二期会
11月オペレッタ『メリー・ウィドー』(新制作)
【日本語訳詞上演】
作曲:フランツ・レハール
公演日:2020/11/26(木)、27(金)、28(土)、29(日)
指揮:沖澤のどか
演出:眞鍋卓嗣
管弦楽:東京交響楽団
会場:日生劇場
主催:公益財団法人東京二期会
共催:公益財団法人ニッセイ文化振興財団【日生劇場】
2021年
2月オペラ『タンホイザー』(新制作)
~フランス国立ラン歌劇場との提携公演~
【日本語字幕付原語(ドイツ語)上演】
作曲:リヒャルト・ワーグナー
公演日:2021/2/17(水)、18(木)、20(土)、21(日)
指揮:アクセル・コーバー
演出:キース・ウォーナー
管弦楽:読売日本交響楽団
会場:東京
主催:公益財団法人東京二期会
5月ヘンデル・オペラ作品(新制作)
《二期会ニューウェーブ・オペラ劇場》
作曲:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
公演日:2021/5/22(土)、23(日)
指揮:鈴木秀美
演出:調整中
管弦楽:ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ(NBO)
会場:東京
主催:公益財団法人東京二期会
7月オペラ『ファルスタッフ』(新制作)
~テアトル・レアル、ベルギー王立モネ劇場、フランス国立ボルドー歌劇場との共同制作~
【日本語・英語字幕付原語(イタリア語)上演】
公演日:2021/7/16(金)、17(土)、18(日)、19(月・祝)
指揮:ベルトラン・ド・ビリー
演出:ロラン・ペリー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
会場:東京
主催:公益財団法人東京二期会
黒田 博(くろだ ひろし) バリトン
Hiroshi Kuroda,Baritone
京都市立芸術大学卒業、東京藝術大学大学院及び二期会オペラスタジオ修了後、イタリアで研鑽を積む。二期会創立50周年記念・ベルギー王立モネ劇場提携公演『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ハンス・ザックスをはじめ、市川團十郎演出新国立劇場/二期会共催『俊寛』、及び二期会『エフゲーニ・オネーギン』『ドン・ジョヴァンニ』『フィガロの結婚』等のタイトルロール、『パルジファル』アムフォルタス、『魔笛』パパゲーノ、新国立劇場『鹿鳴館』影山悠敏伯爵、『沈黙』フェレイラ、また同劇場及びロームシアター京都にて『フィデリオ』ドン・フェルナンド、びわ湖ホール・神奈川県民ホール『タンホイザー』ウォルフラム、『オテロ』イアーゴなど、いずれも的確な役作りと高い演技力で卓越した演唱が評価されている。近年では、18 年新国立劇場『フィデリオ』ドン・フェルナンド、『白虎』西郷頼母、19年新国立劇場『ウェルテル』アルベール等で出演。NHK「ニューイヤー・オペラ・コンサート」「名曲アルバム」等放送にも多数出演。コンサートでも、バロックから現代作品まで幅広く出演、日本を代表するバリトンとして活躍を続けている。また18年10月には“MOZART SINGERS JAPAN”CD《コジ・ファン・トゥッテ》をリリース。本年10月二期会『蝶々夫人』シャープレス、11月日生劇場『トスカ』スカルピアで出演予定。第37回京都府文化賞功労賞受賞。国立音楽大学教授。東京二期会幹事長。二期会会員
森谷 真理(もりや まり)ソプラノ
Mari Moriya,Soprano
武蔵野音楽大学卒業、同大学院及びマネス音楽院修了。第5回ヴェロニカ・ダン国際声楽コンクール第1位など世界各地の国際コンクールで受賞歴多数。2006年『魔笛』夜の女王でニューヨーク・メトロポリタン・オペラにデビューを果たす。翌07/08シーズンに は、アイルランド・オペラ『トゥーランドット』リューにて欧州デビュー。2010~14年オーストリア・リンツ州立劇場専属歌手として『ラクメ』、『椿姫』のタイトルロール、『ラ・ボエーム』ミミなど様々な役を演じ、ウィーン・フォルクスオーパー、ライプツィヒ・オペラ、グラインドボーン音楽祭等にも出演、アメリカでは『ランメルモールのルチア』タイトルロール、『ロメオとジュリエット』ジュリエットを歌うなど、欧米で活躍。国内では14年びわ湖ホール『リゴレット』ジルダの演唱でセンセーショナルを巻き起こし、16年日生劇場『後宮からの逃走』コンスタンツェで高い評価を得たほか、17年二期会『ばらの騎士』元帥夫人、同『蝶々夫人』タイトルロール、18年びわ湖ホール『ワルキューレ』ジークリンデ、日生劇場『魔笛』パミーナ等に立て続けに出演。ヘンデル「メサイア」、マーラー「復活」等のソリストとしても活躍。小山評定ふるさと大使。本年は6月二期会『サロメ』、10月同『蝶々夫人』にていずれもタイトルロールで出演予定。二期会会員
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