2019年06月10日
日本フィル、インキネンとのヨーロッパ公演を終え記者会見を開催

第6回ヨーロッパ公演を終えた日本フィルハーモニー交響楽団が都内で記者会見を行い、首席指揮者のピエタリ・インキネン、理事長の平井俊邦らが出席した。
2019/4/2(火)~14(日)、日本フィルはインキネンと共に、ヘルシンキ(フィンランド)を皮切りに、ドイツ、オーストリア、イギリスの4か国で10公演を行った。得意のシベリウス:交響曲第2番、チャイコフスキー:交響曲第4番など、まさに日本フィルの本領発揮といったプログラムを携え、現地の聴衆にサウンドを届けた。
理事長の平井俊邦は、13年ぶりのヨーロッパ公演の成功がハードルの高いものだったと振り返り、「自信と大きな成果を得て公演を終えることができたのは、皆様のご支援の賜物です」と感謝を述べた。
加えて、「最終日のエディンバラでは、自然とスタンディングオベーションをしました。それは、非常に難しい演奏環境の中で真摯に音楽を創り上げたということ、またその結果として大変素晴らしい演奏を聴くことができたからです」と語り、このヨーロッパ公演が日本フィルにとって大きな経験になったことを伝えた。
平井俊邦
過密なスケジュールの中、毎回違う会場の響きでクオリティの高い音楽を届けるというのはオーケストラ、指揮者にとってとても困難なことである。さらに今回はピアノのソリストが2名いたため、同じ曲を別のアプローチで演奏しなくてはならなかった。そんな中、日本フィルは演奏を重ねて進化を続け、ツアー後の東京公演まで多くの拍手を受けた。
インキネンは「この1か月、日本フィルと今までで最も濃厚な時間を過ごすことができました。日本フィルにとって念願のフィンランド訪問の中で、故郷コウヴォラで演奏できたことは本当に感慨深く、感動的です。今回のツアーのハイライトは何と言ってもウィーンでの公演。ここで鳴ったサウンド、体感した響きは忘れることはなく、どこに行ってもすぐに思い出されます。これは今後にとって本当に素晴らしい体験です」と語り、共に過ごした時間の中で、指揮者とオケの関係がさらに高まり成長できたことに喜びを示した。
ピエタリ・インキネン
また、興味深い話のひとつだったのは、演奏以外の時間の過ごし方について。飛行機から降りてそのままリハーサルに向かうといったようなタイトなスケジュールの中で、団員たちは自由時間も充実させていたという。これに対し、平井理事長は「音楽家は遊ぶ時間も芸術的」と表現していた。現地の食・観光を充分に満喫し、演奏となると真剣に音楽に取り組む集中力は本当に素晴らしいものだったようだ。
このヨーロッパ公演での成功を生かす場が、ベートーヴェン生誕250年を先取りするベートーヴェン・ツィクルス。今年10月から半年以上かけて9つ全ての交響曲を演奏し、ピアノ協奏曲にも取り組む。
これについてインキネンは「日本フィルの明るく繊細なサウンドを生かして音楽を創りたいと思っています。目指すのはモダンオーケストラとしてのベートーヴェン。古典的にオケのサイズを変えたり、斬新な解釈をするよりは、ナチュラルな演奏がしたいです。今までオーケストラを聴いたことのない新しい聴衆にも是非来ていただきたいですね」と述べた。
さらに、ベートーヴェンの交響曲と併せて、なかなか演奏されることのないドヴォルザークの序曲を取り上げることに関しても、挑戦の意欲を見せた。ただベートーヴェンを取り上げるだけでなく、オーケストラに新しい風を吹かせるインキネンはこれからのシーズンも日本フィルを引っ張っていく。
今回の新たな体験をもとに磨かれたサウンドはこれからさらに深みを増すだろう。日本フィルの音楽の旅はこれからも続いていく。

発売日 : | 2016/03/01 |
レーベル : | 日本フィルハーモニー交響楽団 |
フォーマット : | CD |

発売日 : | 2015/04/22 |
レーベル : | Naxos *classic* |
フォーマット : | CD |

発売日 : | 2011/09/02 |
レーベル : | 日本フィルハーモニー交響楽団 |
フォーマット : | SACD |
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