2019年06月25日
日本フィルが落合陽一とタッグを組み、テクノロジーでオーケストラコンサートをアップデート

テクノロジーとオーケストラ――真逆の世界で存在しているように思える両者がコラボレーションする。日本フィルハーモニー交響楽団と筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏が手掛ける『耳で聴かない音楽会 2019』と『交錯する音楽会』が今年8月に開催される。
今回3回目を迎えるこの演奏会は、聴覚障害のある方をはじめ、普段オーケストラに馴染みのない方にも音楽を身近に感じてもらうことを目指して開始されたプロジェクト。公演で使用するシステム資金と、障害のある子どもをコンサートに招待する資金の確保のため、クラウドファンディングが行われている。(8/1(木)23:00まで)
『耳で聴かない音楽会 2019』のテーマは「Diversity」。昨年も公演が行われ、好評を博した。聴覚障害のある方は「SOUND HUG(サウンドハグ)」という球体のデバイスを抱きかかえて音楽を楽しむ。内部にLEDと振動スピーカーを搭載しており、音に反応して光り振動する様を体感することができる。また、「Ontenna(オンテナ)」というデバイスも用意されている。髪の毛にヘアアクセサリーのようにつけ、音圧によって変化する振動と光を頭に直接伝える。
参考映像:VOL.1《耳で聴かない音楽会》ダイジェスト
第2夜の『交錯する音楽会』は「Art」がテーマとなっており、新たな観点でオーケストラの概念が再構築される。巨大スクリーンにビジュアルデザインスタジオ「WOW」が手がけた映像が映し出され、音楽と共に変化し、普段オーケストラの親しみがある方にとっても、初めての体験をすることができるだろう。今回、落合氏は「洋×和の交錯」を考えているという。そこからどんな表現が生み出されるか、楽しみである。
参考映像:VOL.2《変態する音楽会》ダイジェスト
日本でオーケストラが本格的に活動し始めて100年。その形は時代とともに確実に変化している。今だからこそ描ける新しい音楽の姿を見届けたい。
落合陽一×日本フィル プロジェクトVOL.3
演出:落合陽一
出演:海老原光(指揮)、日本フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)、江原陽子(ファシリテーター)
ビジュアルデザイン:WOW
照明:成瀬一裕
第1夜 Diversity『耳で聴かない音楽会 2019』
日時:2019/8/20(火)
場所:東京オペラシティ コンサートホール タケミツ メモリアル
演奏曲目:
パッヘルベル:カノン
サン=サーンス:『動物の謝肉祭』オーケストラ版、他
第2夜 Art『交錯する音楽会』
日時:2019/8/27(火)
場所:東京芸術劇場 コンサートホール
演奏曲目:
小山清茂:管弦楽のための木挽歌
ドビュッシー:交響詩『海』より第3楽章「風と海との対話」、他
落合陽一(演出)
Yoichi Ochiai,director
メディアアーティスト。1987年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。筑波大学准教授・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤代表・JST CREST xDiversity プロジェクト研究代表・一般社団法人 xDiversity 代表理事・ピクシーダストテクノロジーズ株式会社代表取締役。2015年World Technology Award、2016年Prix Ars Electronica、EUよりSTARTS Prize受賞。Laval Virtual Awardを2017年まで4年連続5回受賞など、国内外で受賞多数。直近の個展として「質量への憧憬(東京・品川、2019)」など。近著として「日本進化論(SBクリエイティブ)」、「デジタルネイチャー(PLANETS)」、写真集「質量への憧憬(amana)」
海老原光(指揮)
Hikaru Ebihara,conductor
鹿児島生まれ。鹿児島ラ・サール中学校・高等学校、東京芸術大学を卒業、同大学院修了。その後、ハンガリー国立歌劇場にて研鑽を積む。2007年ロブロ・フォン・マタチッチ国際指揮者コンクールで第3位を受賞。指揮を小林研一郎、高階正光、コヴァーチ・ヤーノシュの各氏に師事。2019年、九州シティフィルハーモニー室内合奏団首席指揮者に就任。これまでに、国内主要オーケストラを指揮し、好評を得ている。また、2012年、2015年にクロアチア放送交響楽団の定期公演(ザグレブ)に出演し、現地で好評を博した。2019年にはゲデレー交響楽団に客演予定。
WOW(ビジュアルデザイン)
WOW,visual design
東京、仙台、ロンドン、サンフランシスコに拠点を置くビジュアルデザインスタジオ。CMやコンセプト映像など、広告における多様な映像表現から、さまざまな空間におけるインスタレーション映像演出、メーカーと共同で開発するユーザーインターフェイスのデザインまで、既存のメディアやカテゴリーにとらわれない、幅広いデザインワークをおこなっている。
日本フィルハーモニー交響楽団
Japan Philharmonic Orchestra
1956年創立。創立指揮者渡邉曉雄。60年を超える歴史と伝統を守りつつ、さらなる発展を目指し、「オーケストラ・コンサート」、「リージョナル・アクティビティ」、「エデュケーション・プログラム」という三つの柱で活動を行っている。首席指揮者ピエタリ・インキネン、桂冠指揮者兼芸術顧問アレクサンドル・ラザレフ、桂冠名誉指揮者小林研一郎、正指揮者山田和樹、ミュージック・パートナー西本智実という充実した指揮者陣を中心に演奏会を行い、“音楽を通して文化を発信”している。2011年4月より、ボランティア活動「被災地に音楽を」を開始。2019年5月末までに268公演を数え、現在も継続している。落合陽一とのプロジェクトにより、カンヌライオンズ2019 エンターテインメント・フォー・ミュージック部門ブロンズ、第72回広告電通賞イノベーティブ・アプローチ最高賞・特別賞、日本マーケティング大賞 奨励賞、第5回JACEイベントアワード優秀賞受賞。
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