『ラ・トラヴィアータ』(椿姫) 矢内原美邦の演出で、新しい世界観に

椿姫2020

2020年2月に、東京・福島・石川 で新しい世界観の「ヴェルディ/歌劇『ラ・トラヴィアータ』(椿姫)全幕」の開催が決定した。

(写真は左から、アンニーナ役:森山京子氏/メゾ・ソプラノ、ジェルモン役:三浦克次氏/バス・バリトン、演出・振付:矢内原美邦氏、アルフレード役:宮里直樹氏/テノール、フローラ役:醍醐園佳氏/ソプラノ)

演出は、海外での評価も高いクリエイター集団、ニブロールを主宰する矢内原美邦で、今回オペラ演出に初挑戦する。本作は、舞台設定を現代に置き換えて構成される。「ヴェルディのオペラから、生と死が交錯し、つながる感覚を覚えた。ヴィオレッタが人生を回想するように描き、見たことのないようなオペラにしたい」と矢内原は演出プランを語る。

指揮は、スウェーデン・ヨーテボリ国立歌劇場音楽監督であるオペラ指揮のスペシャリスト、ヘンリク・シェーファー。主役のヴィオレッタ役は、欧州オペラ界を代表するソプラノ歌手のエヴァ・メイが務める。他にも、アルフレードには天性の朗々とした響きを持つ宮里直樹、ジェルモンを含め本作品のバス・バリトンの役を全て歌った経験を有するベテラン・三浦克次、フローラ役には進境著しい注目のソプラノの醍醐園佳をはじめ、若手中堅歌手を中心にキャスティング。

矢内原は「原題『La traviata』は“道を踏み外した女”という意味だが、彼女は自身の存在を認めてもらうために、正しいと思う道を生き抜いたのでは。 一人の女性として、一人の人間として、人生を全うしようとした彼女の生き様をしっかりと見つめ直したい。フローラやヴィオレッタから感じる女性の強さを演出できれば 」と話す。

ヘンリク・シェーファーは「感動したシーンは、第2幕のヴィオレッタの短いパッセージ。とても寂しげなアダージョで、高音域のクラリネットがヴィオレッタの自暴自棄な感情を静かに描く。『ラ・トラヴィアータ』の魔法のような音楽の中でも、最も美しい瞬間」とコメントを寄せた。

舞台セット

舞台セットの模型

 

映像は、ヴィジュアルアーツの中で勢いのある作家・高橋啓祐が手掛ける。矢内原は「プロジェクションマッピングのように 全体的に映ったり、ある一点に映ったりと非常に面白いものになる。美術セット自体がスクリーンで、その美術セットもどんどん動いていく。水や火など、抽象的でありながら、具体的な映像のサンプルが出ているので、とても斬新なものになるはず」と意気込んだ。

人気オペラ「椿姫」を新たな視点で捉え直す「ラ・トラヴィアータ」、音楽的にも演出的にも新たな表現を感じさせる同プロジェクトに注目したい。

 

ヴェルディ/歌劇『ラ・トラヴィアータ』(椿姫)全幕

 

椿姫1120

【日時・場所】
2020/2/9(日)14:00開演
白河文化交流館コミネス 大ホール

2020/2/16(日)14:00開演
金沢歌劇座

2020/2/22(土)14:00開演
東京芸術劇場 コンサートホール

 

[全幕]日本語字幕付原語上演
指揮:ヘンリク・シェーファー
演出・振付:矢内原美邦
ヴィオレッタ:エヴァ・メイ(ソプラノ)
フローラ:醍醐園佳(ソプラノ)
アンニーナ:森山京子(メゾ・ソプラノ)
アルフレード:宮里直樹(テノール)
ジェルモン:三浦克次(バス・バリトン)
ガストーネ:古橋郷平(テノール)
ドゥフォール男爵:三戸大久(バス・バリトン)
ドゥビニー:高橋洋介(バリトン)
グランヴィル医師:ジョン・ハオ(バス)
ジュゼッペ:三浦大喜(テノール)
フローラの召使:杉尾真吾(バス)
使いのもの:井出壮志朗(バリトン)

俳優・ダンサー:青木萌、内藤治水、原田理央、松井壮大、柳生拓哉

合唱:コミネス混声合唱団(白河公演)、金沢オペラ合唱団(金沢公演)、新国立劇場合唱団(東京公演)


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ヘンリク・シェーファー(指揮)
Henrik Schaefer, Conductor

22歳の時に最年少でベルリン・フィルのメンバー(ヴィオラ)となり、在籍中は13年間にわたり、クライバー、ムーティ、ラトル等の指揮者と演奏活動を行った。その傍らライプツィヒで指揮を学び、2000年にクラウディオ・アバドの 指名によりベルリン・フィルのアシスタント・コンダクターとなり、『トリスタンとイゾルデ』やマーラー、ブルックナーの交響曲を指揮した。また、アバドのアシスタントとしてマーラー・チェンバー・オーケストラを指揮した。
2001年にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団と『春の祭典』で指揮者としてデビュー。
その後瞬く間に、ヨーロッパ、南アメリカ、アジアのオーケストラへ客演を重ねるようになり、2007年~2014年には広島交響楽団の首席客演指揮者を務めた。2009年、スウェーデン・ヴェルムランド歌劇場音楽監督に就任。2014年からスウェーデンの名門ヨーテボリ歌劇場の音楽監督を務めている。
これまでに、DR放送交響楽団、ノールショピング交響楽団、香港フィル等のほか、ルーアン歌劇場、ウィーン・フォルクスオーパーで指揮。日本ではオーケストラ・アンサンブル金沢を初め、都響、東響、新日フィル、札響、仙台フィル、大阪フィルに客演している。

 

矢内原美邦(演出・振付)
Yanaihara Mikuni, Director・Choreographer

1997年ダンスカンパニー ニブロール結成。代表兼振付家として活動を始め、国内外のフェスティバルに招聘される。2005年演劇作品に取り組みミクニヤナイハラプロジェクトを始動、劇作・演出を手がけ第56回岸田國士戯曲賞受賞。上海ビエンナーレ、大原美術館、森美術館、仙台メディアテークなどの展覧会に参加。ダンスと演劇、美術などの領域を行き交いながら作品制作を行う。2001年ランコントレ・コレオグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ・ナショナル賞、2007年に第1回日本ダンスフォーラム大賞受賞、2012年に横浜市文化芸術奨励賞を受賞、2015 年文化交流使大使として活動。

 

エヴァ・メイ(ソプラノ)
Eva Mei, Soprano singer

イタリア中部のファブリアーノ生まれ。フィレンツェのルイジ・ケルビーニ音楽院に学び、1990年、ウィーン国際モーツァルト・コンクールでカテリーナ・カヴァリエリ賞を受賞、ウィーン国立歌劇場にもデビューする。以降、欧州オペラ界を代表するソプラノ歌手として、同劇場を始め、ベルリン・ドイツ・オペラ、コヴェント・ガーデン王立歌劇場(ロイヤル・オペラハウス)、チューリッヒ歌劇場、ミラノ・スカラ座、ナポリのサン・カルロ劇場、フィレンツェ歌劇場、パルマ王立歌劇場、トリエステのヴェルディ歌劇場、モンテカルロ歌劇場、東京の新国立劇場、ロッシーニ・オペラ・フェスティバル、ザルツブルク音楽祭、ルツェルン音楽祭等に出演、『後宮よりの逃走』コンスタンツェ、『フィガロの結婚』伯爵夫人、『ドン・ジョヴァンニ』ドンナ・アンナ、『皇帝ティトーの慈悲』ヴィッテリア、『魔笛』夜の女王、『ドン・パスクァーレ』ノリーナ、『アンナ・ボレーナ』アンナ・ボレーナ、『ウィリアム・テル』マティルド、『 タンクレーディ』アメナイード、『カルメン』ミカエラ、『椿姫』ヴィオレッタ、『仮面舞踏会』オスカル、『ファルスタッフ』アリーチェ、『こうもり』 ロザリンデ等多彩な役柄を演じている。