サロネンとフィルハーモニア管弦楽団 来日-VR体験や野外サラウンド映像も

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現在、東京芸術劇場で指揮者エサ=ペッカ・サロネン率いる英国名門オーケストラ、フィルハーモニア管弦楽団の来日公演に合わせて、VR(バーチャルリアリティー)体験プログラム「VR サウンド・ステージTOKYO」が開催されている。

同プログラムは、フィルハーモニア管弦楽団が最新のデジタル技術を駆使して実現させた。サロネンの真正面かつオーケストラの中心という、現実ではあり得ない場所から、2017年のロンドン公演で演奏した「マーラー:交響曲第3番」の終楽章の終盤の約5分間を360°体験できる。

同管弦楽団では、より幅広い客層にオーケストラの魅力を伝えるため、10年以上前からVRプログラムを先進的な取り組みとして力を入れている。「素晴らしいオーケストラの体験をあらゆる人に伝えていきたい」というサロネンの強い思いがあり、新たな展開を積極的に手掛けてきた。これまで制作したデジタル・プログラムは、2015年に手掛けた1作目の「シベリウス:交響曲第5番」、2作目が「ベートーヴェン:交響曲第5番」、そして3作目がこの「マーラー:交響曲第3番」となる。これまで、アメリカ、イギリス、ヨーロッパなど世界各国で上映。今回、日本では来日に合わせてVRプログラムを上映する運びとなり、デジタルチームのダニエル・ムンスロー氏が記者会見に登壇した。

 

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プログラムの最大の特徴は「オーケストラの中心にいるような、没入感のある非常に特別な体験ができる」こと。制作には147本のマイクと、カルーセル型に配置した16台のゴープロカメラを使用。ダン氏は「クラシックのコンサートに行ったことがない人が、行ってみたいと思ってもらえたら嬉しい。クラシックファンにとっては、貴重な体験となるはず」と話す。「新しいオーケストラの未来、音楽の新しい形、そして最高の体験を届けたい」と期待を込める。オーケストラの演奏者たちは、自分がいつも見ることができない視点からオケを体験できるので、非常に興味を持っているという。

 

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また会見に参加した記者たちが実際に、「マーラー:交響曲第3番」の最後の約5分間のプログラムを体験した。回転式の椅子に座り、Lenovoのヘッドセット「デイドリーム」と、ソニー社のノイズキャンセリング機能付きのBluetooth型ヘッドフォンを装着。自分を中心として、360°全方位の映像を見ることができる。

 

ヘッドセット

 

装着するとすぐにプログラムが開始され、静寂の中、手を伸ばせば届きそうな距離にサロネンが現れる。さらにサロネンの後ろには、大勢の観客がこちらを注視しており少し動揺する。そしてフルートの調べにつられて、ぐるりと後ろへ振り向くと自分がオケの中心にいて、突然舞台の中心に連れてこられたような不思議な感覚に。サロネンとオケの間という特等席に緊張感を覚えるが、音の渦に飲まれ、舞台上でしか感じることのできない臨場感に圧倒される。
ヴァイオリンの激しく美しい弓さばき、トランペットの険しく真剣な眼差し、うっとりとした表情で演奏するチェロ、華やかなホルンの音色、地鳴りのように響き渡るティンパニー。それぞれの手元や表情まで鮮明に見え、ライブ感溢れるひとときを体感できる。
舞台の上から自由に視線を動かせるので、自分が注目したいパートに集中できる上に、サロネンに指揮をされているプロの音楽家になったかのような感覚も味わえる。日常では絶対に体験できない、なんとも贅沢なシチュエーションだ。演奏後はサロネンの合図で楽団員が皆立ち上がるが、ここでも自身がオケの一員になったかのような気分を味わうことができる。

 

グローバルリング全体
グローバルリング 「Tokyo Music Evening Yūbe with Philharmonia」

 

なお同期間中、芸術劇場の広場にて2019年11月に完成したグローバルリングでは、夜間限定で関連プログラム「Tokyo Music Evening Yūbe with Philharmonia」も上映されている。街のイルミネーションを背景に「マーラー:交響曲第3番」の終楽章の約30分を2D映像と合わせてサラウンドサウンドで優しく、柔らかく音に包まれるように聴くことができる。こちらは、VRと違い全体を引きで、各パートの見せ場のシーンでは寄りでと、様々なアングルからバランスよく観賞できる。VRプログラムと比較しつつ、オケの奥に座っている演奏家たちの指の運び、細かな表情まで堪能してもらいたい。隣接するグローバルリングカフェでワインやコーヒーを飲みながら、気軽にオーケストラの演奏を楽しめる嬉しいイベントだ。

 

オケの全体を見渡したアングルも上映される / サロネンの正面に設置されたVR撮影用のゴープロ

 

今回のシーズンでサロネンは首席指揮者を退任するため、1月23日(終了) 、28日、29日の演奏会にも注目が集まる(席数残り僅か)。サロネンが、最初にフィルハーモニア管弦楽団で指揮をしたのも「マーラー:交響曲第3番」。1983年 弱冠25歳、無名の指揮者だったサロネンが、マイケル・ティルソン・トーマスの代役として指揮を務め大成功を収めた事で、フィルハーモニア管弦楽団との関係がスタートしたという。この終楽章はサロネンが最も美しいエンディングの一つだと語っている。公演最終日は「マーラー:交響曲第9番」で、フィルハーモニア管弦楽団との歴史を荘厳に締めくくる。VRでは「出会いの第3番」、演奏会最終日では「第9番」と、30年以上もの長い時間と信頼関係をもって創り上げた集大成のマーラーに期待したい。

 

サロネン

©MinnaHatinen800

気軽にVRやYūbeを体験するもよし、劇場でサロネンとフィルハーモニア管の生演奏でしか感じることのできない、集大成となる素晴らしいハーモニーを味わうもよし。芸術劇場で、最先端のデジタル・プログラムや必聴プログラムの生演奏を体感いただきたい。

 

VRサウンド・ステージ Tokyo

日時:2020/1/11(土)~19日(日)、22日(水)~29日(水)
 [平日]11:00~14:00/16:00~20:00
 [土・日・祝] 11:00~18:00
※プログラムは、毎時00分と30分から開始(約20分間)。
※各日最終プログラムは、終了時間の30分前となります。
会場:東京芸術劇場 アトリエウエスト(地下 1階)

VRプログラム

【曲目】マーラー:交響曲第 3番 第 6楽章(終盤の約 5分間)

指揮:エサ=ペッカ・サロネン
演奏:フィルハーモニア管弦楽団
収録日:2017年10月1日
収録場所:ロイヤル・フェスティバル・ホール(ロンドン、サウスバンクセンター)

参加費:無料
定員:1回15名
参加方法:「WEBからの事前予約」と「当日受付」があります。※受付詳細はHPにて発表。

関連事業「Tokyo Music Evening Yūbe with Philharmonia」

グローバルリング


サロネンが最も美しいエンディングと語るマーラー:交響曲第3番の終楽章。彼とフィルハーモニア管弦楽団が演奏する壮大な音楽が、サラウンド・スピーカーと映像を通して冬の池袋西口公演を彩る。

日時:1月11日(土)~31日(金)、各日19:00~20:00、20:30~21:00 ※予定
会場:池袋西口 公園 野外劇場 GLOBAL RING THEATRE
上映映像:
https://www.youtube.com/watch?v=M622tyRUYKg

東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズ フィルハーモニア管弦楽団

 

指揮:エサ=ペッカ・サロネン
演奏:フィルハーモニア管弦楽団

【日時・場所】
2020/1/23(木) 19:00 開演
演奏曲目:
ラヴェル:組曲『クープランの墓』
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『春の祭典』

【日時・場所】
2020/1/28(火) 19:00 開演
演奏曲目:
シベリウス:交響詩『大洋の女神』op.73
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調op.77 ※庄司紗矢香(Vn)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽『火の鳥』(1910年原典版)

【日時・場所】
2020/1/29(水) 19:00 開演
演奏曲目:
サロネン:ジェミニ*日本初演
マーラー:交響曲第9番ニ長調
 ※当公演には休憩はございません。


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エサ=ペッカ・サロネン(首席指揮者&アーティスティック・アドヴァイザー)
Esa-Pekka Salonen, Principal Conductor & Artistic Advisor Philharmonia Orchestra

ヘルシンキ生まれの指揮者・作曲家。シベリウス・アカデミーに学び、1979年、フィンランド放送響を指揮して指揮者デビュー。1985年~95年スウェーデン放送響の首席指揮者、また1992年~2009年までロサンゼルス・フィルの音楽監督を務め、桂冠指揮者となった。
2008年9月フィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者及びアーティスティック・アドヴァイザーに就任。
多数の現代作品の初演をはじめとする現代音楽に対する解釈もきわめて高く評価されている。また、受賞歴としてキジアーナ音楽院からシエナ賞、英国のロイヤル・フィルハーモニック・ソサイエティからオペラ賞・指揮者賞、フランス政府から芸術文化勲章「オフィシエ」等がある。

 

フィルハーモニア管弦楽団(管弦楽)
Philharmonia Orchestra

1945年EMI(当時の英コロンビア)の芸術部長W.レッグによって創設。
その後R.シュトラウス、カラヤン、トスカニーニ、フルトヴェングラー等の巨匠を指揮者に招き、その名演と共に一躍欧州楽壇の注目の的となった。特にカラヤンとは多くの録音を残し、欧米各地に演奏旅行も行った。その後クレンペラー、ムーティ、シノーポリが首席指揮者となり、90年はシノーポリ、2007年はインバルの指揮により、東京で『マーラー・チクルス』の公演を行なった。1997年にドホナーニが首席指揮者に就任。さらに2008年エサ=ペッカ・サロネンが首席指揮者及びアーティスティック・アドヴァイザーに就任。
現在はサロネンの他に終身名誉指揮者にドホナーニ、桂冠指揮者にアシュケナージという陣容となっている。