東京交響楽団

©N. Ikegami
©N. Ikegami
©N. Ikegami

1946 年、第二次世界大戦によって中断された音楽文化の再建と、新しい舞台音楽の公演を目標に「東宝交響楽団」として創立。1951 年に「東京交響楽団」に改称し、現在に至る。
歴代の指揮者陣には、往年の名指揮者アルヴィド・ヤンソンス、近衛秀麿や上田仁らが名を連ね、外来音楽家が珍しかった 1950 年代から世界的な演奏家と数多く共演する。指揮者ではマゼール、ヨッフム、フルネ、カザルス、独奏者ではバックハウス、オイストラフ、ケンプ、ロストロポーヴィチらを迎え、聴衆を魅了してきた。
現代音楽やオペラの初演に定評があり、主な作品には 1940 年代から 1950 年代にかけてのショスタコーヴィチ「交響曲第 7 番~第 12 番」の日本初演、武満徹「弦楽のためのレクイエム」(1957 年、委嘱初演)、シェーンベルクの歌劇「モーゼとアロン」(1994 年、邦人初演、演奏会形式)、ラッヘンマンのオペラ「マッチ売りの少女」(2000 年、日本初演、演奏会形式)、黛敏郎のオペラ「古事記」(2001 年、日本初演、演奏会形式)、アダムズ「エル・ニーニョ」(2003 年、日本初演)とオペラ「フラワリングツリー*花咲く木」(2008 年、日本初演、セミ・ステージ形式)、ヘンツェのオペラ「ルプパ」(2007 年、日本初演、演奏会形式)、ヤナーチェク・オペラシリーズがある。
これらの活動により、文部大臣賞、音楽之友社賞、京都音楽賞大賞、毎日芸術賞、文化庁芸術作品賞、モービル音楽賞、サントリー音楽賞、中島健蔵音楽賞特別賞、ミュージックペンクラブ音楽賞等、日本の主要な音楽賞の殆どを受賞。
舞台芸術創造活動活性化事業として文化庁の助成を受け、サントリーホール、ミューザ川崎シンフォニーホール、東京オペラシティコンサートホールで主催公演を行うほか、2004年からは川崎市のフランチャイズオーケストラとして定期演奏会や特別演奏会、音楽鑑賞教室や市内施設への巡回公演などのコミュニティ活動を実施している。これらが高く評価され、2013 年に川崎市文化賞を受賞。また、新潟市では 1999 年より準フランチャイズ契約のもと、定期演奏会や「わくわくキッズコンサート」、学校や病院で室内楽演奏を行い、東京都八王子市では 2013 年度より(公財)八王子市学園都市文化ふれあい財団と提携し、コンサートやアウトリーチなどを積極的に展開している。これら地域に密着した活動の一方で、海外においても 58 都市で 78 公演を行い、音楽的・社会的に国際交流の実を挙げてきた。

また、新国立劇場では 1997 年の開館時からレギュラーオーケストラのひとつとしてオペラ・バレエ公演を担当。さらに、子どものための演奏会にもいち早く取り組んでおり、近年では「0 歳からのオーケストラ」(2007 年~)が“次世代への音楽文化の伝承に多大に寄与している”として、2010 年にひまわり褒章を受賞。サントリーホールとの共催による「こども定期演奏会」(2001 年~)は、日本で初めての“子どものための定期演奏会”という、その斬新な発想が多方面から注目されている。
東日本大震災を機に、2011 年 5 月から楽団員によるチャリティコンサート「Concert For Smiles」を定期的に開催。この募金は(公財)国際開発救援財団を通じて被災地の復興に役立てられている。
録音においては、TOKYO SYMPHONY レーベル「シューベルト交響曲集(指揮=ユベール・スダーン)」をはじめ、EXTON レーベル「ブルックナー:交響曲第 8 番(指揮=ジョナサン・ノット)」、N&F レーベル「ブルックナー:交響曲第 7 番、第 8 番(指揮=ユベール・スダーン)」、キングレコード、日本コロムビア等から多数の CD をリリース。映画やテレビでの演奏も数多く、中でもテレビ朝日「題名のない音楽会」は、1964 年の番組開始時よりレギュラー出演している。
2012 年 9 月には、理事長に(株)エイチ・アイ・エス会長の澤田秀雄を迎え、横川端会長、依田巽、平澤創両副理事長での体制に移行した。
2014 年度シーズンより、ジョナサン・ノットが第 3 代音楽監督に就任。正指揮者に飯森範親、桂冠指揮者に秋山和慶、ユベール・スダーン、名誉客演指揮者に大友直人を擁する。2016 年に創立 70 周年を記念し、ウィーン楽友協会を含むヨーロッパ 5 カ国で公演を行う。
また 2018 年 8 月には日中平和友好条約締結 40 周年を記念し上海・杭州にて公演を行い、日中の文化交流の役割を果たした。

 

公式サイト:http://tokyosymphony.jp/

指揮者

  • 東京交響楽団 ジョナサン・ノット
    ©K.Miura

    音楽監督

    ジョナサン・ノット Jonathan Nott

    ジョナサン・ノットは 2011 年 10 月定期/川崎定期演奏会においてラヴェル「ダフニスとクロエ(全曲)」などを指揮して東京交響楽団にデビュー。この共演が決定的となり、翌 2012 年 10 月には次期音楽監督の就任を発表。2014 年度シーズンより東京交響楽団第 3 代音楽監督を務める。
    1962 年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で音楽を専攻し、マンチェスターのロイヤル・ノーザン・カレッジでは声楽とフルートを学び、その後ロンドンで指揮を学んだ。ドイツのフランクフルト歌劇場とヴィースバーデン・ヘッセン州立劇場で指揮者としてのキャリアをスタートし、オペラ作品に数多く取り組む。1997 年~2002 年ルツェルン交響楽団首席指揮者兼ルツェルン劇場音楽監督、2000 年~2003 年アンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督(2004 年~2006 年は客演指揮者)、2000 年~2016 年ドイツ・バンベルク交響楽団の首席指揮者を経て、2017 年 1 月よりスイス・ロマンド管弦楽団の音楽監督を務める。
    2010 年、バンベルク響との CD「マーラー:交響曲第 9 番」を世界で権威あるフランスの Midem音楽賞最優秀交響曲・管弦楽作品部門賞受賞へ導き、オーケストラの知名度を一躍広めた。古典から現代曲まで幅広いレパートリーと抜群のプログラミングセンスを持つノットは、その多岐にわたる活躍が評価され、2009 年バイエルン文化賞が贈られた。2016 年 7 月にバンベルク大聖堂にて開催された同響とのラストコンサートでは、大司教より功労勲章が授与された。
    ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ニューヨーク・フィル、シカゴ響、ロサンゼルス・フィル、フィラデルフィア管、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、バーミンガム市響、チューリヒ・トーンハレ管、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、ドレスデン・シュターツカペレ、バイエルン放送響、サンタ・チェチーリア管など世界一流のオーケストラと客演を重ねている。2016 年 6 月には D.ガッティの代役でウィーン・フィルへ客演し、ヨナス・カウフマンと共演した。
    レコーディング活動においてもノットの多彩な才能が生かされており、ベルリン・フィルを指揮したリゲティの作品全集(Teldec)や、アンサンブル・アンテルコンタンポランとのエマヌエル・ヌネス作品集、ラッヘンマン作品集、ジョン・アダムズの DVD、クセナキス、ベリオほかの作品集といった現代作品や、バンベルク響とのマーラー、ブルックナー、シューベルト、ストラヴィンスキーの作品(Tudor)をリリースしている。
    教育活動にも熱心で、2014 年秋にユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術顧問に就任し、マーラー・ユーゲント管とは 2015 年にツアーを行った。また、カールスルーエとルツェルンの音楽院でも教鞭をとっているほか、G.ドゥダメルを輩出した「マーラー国際指揮者コンクール」も統括した。

  • 東京交響楽団 飯森範親
    ©s.yamamoto

    正指揮者

    飯森範親 Norichika Iimori

    桐朋学園大学指揮科卒業。ベルリンとミュンヘンで研鑽を積む。94年から東京交響楽団の専属指揮者、モスクワ放送交響楽団特別客演指揮者、大阪・オペラハウス管弦楽団常任指揮者、広島交響楽団正指揮者などを歴任。96年の東京交響楽団ヨーロッパツアーでは「今後、イイモリの名が世界で注目されるであろう」と絶賛された。03年、NHK交響楽団定期演奏会でマーラー:交響曲第1番を指揮し、年間ベスト10コンサートに選ばれる。04年シーズンより山形交響楽団の常任指揮者に着任し、次々と新機軸を打ち出してオーケストラの活動発展と水準の向上に目覚しい成果を挙げている。07年より音楽監督に就任。08年にはアカデミー賞映画「おくりびと」にも出演するなど、「飯森&山響」コンビのエネルギッシュな活動はいま大きな注目を集めている。オーケストラを革新し、地域活性化に貢献したことから、2010年のビジネス・イノベーション・アワード大賞(主催:日本経営士会)を受賞し、2011年には山形県より齋藤茂吉文化賞を受賞。近年は音楽家としての活動のみならず、こうしたアートマネジメント分野でもその才能を発揮し、日本経営士会名誉会員として活躍の場を広げている。

    海外ではフランクフルト放送響、ケルン放送響、チェコフィル、プラハ響、モスクワ放送響、ホノルル響など世界的なオーケストラを指揮。01年よりドイツ・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の音楽総監督に就任、日本人指揮者とドイツのオーケストラの組み合わせとしては史上初の快挙となる「ベートーヴェン交響曲全曲」のCDをリリースし、06年の日本ツアーを成功に導いた。

    また、東京交響楽団とのライブ録音《レスピーギ:交響詩「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」》がレコード芸術誌特選版に選ばれた。

    国内外の多くのオーケストラとの間に築かれた類稀な信頼関係、信頼を裏付ける着実な活動の輪の広がりが高く評価され、05年「渡邉暁雄音楽基金 音楽賞」を受賞。さらに、近現代作品や日本人作品の初演・再演に対する業績により、06年度 芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年度 中島健蔵音楽賞を相次いで受賞した。
    現在、東京交響楽団正指揮者、山形交響楽団音楽監督、日本センチュリー交響楽団首席指揮者、いずみシンフォニエッタ大阪常任指揮者、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団名誉指揮者、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者。

  • 東京交響楽団 秋山和慶

    桂冠指揮者

    秋山和慶 Kazuyoshi Akiyama

    1941年生まれ。故斎藤秀雄のもとで指揮法を修め、1963年に桐朋学園大学音楽学部を卒業。1964年2月に東京交響楽団を指揮してデビューののち同団の音楽監督・常任指揮者を40年間にわたり務める。その間、トロント響副指揮者、アメリカ響音楽監督、バンクーバー響音楽監督(現在桂冠指揮者)、シラキュース響音楽監督を歴任。サンフランシスコ響、クリーヴランド管、ロサンゼルス・フィル、フィラデルフィア管、ニューヨーク・フィル、ボストン響、シカゴ響、ロイヤル・フィル、NDR北ドイツ放送響、ケルン放送響、スイス・ロマンド管、チューリッヒ・トーンハレ管などに客演している。

    1991年東京響創立45周年記念ワールドツアーでは全公演を指揮して大成功をおさめ、1994年には同団第400回定期演奏会を記念したシェーンベルクの歌劇「モーゼとアロン」(演奏会形式)を指揮、各紙から絶賛を博し同年音楽界最大の話題となった。また同公演のCDは各レコード誌より国内外で高く評価された。ふたたび1996年東京響創立50周年記念ヨーロッパ公演を指揮して同公演を成功に導き、2001年には同団創立55周年トルコ・イタリア公演を指揮し各地で好評を博した。1997年にシェーンベルク:ヤコブの梯子、ヤナーチェクの歌劇「利口な女狐の物語」(舞台上演形式)、2000年ラッヘンマン:歌劇「マッチ売りの少女」(演奏会形式・日本初演)、ヤナーチェク:歌劇「カーチャ・カヴァノヴァー」(原語による日本初演)、2003年にはジョン・アダムズ:「エル・ニーニョ」(日本初演)を取り上げるなど常に新たな挑戦を続けている。

    これまでに第6回サントリー音楽賞(1975年)、芸術選奨文部大臣賞(1995年)、大阪府民劇場賞(1989年)、大阪芸術賞(1991年)、第36回川崎市文化賞(2007年)、広島市民賞(2008年)をはじめ、東京響とともに毎日芸術賞(1994年)、第8回京都音楽賞大賞(1993年)、モービル音楽賞(1996年)、第29回サントリー音楽賞(1997年)を受賞。2001年11月に紫綬褒章、2011年6月には旭日小綬章を受章。2014年度文化功労者に選出。同年中国文化賞(広島)、徳島県表彰特別功労賞を受賞、2015年渡邉暁雄音楽基金特別賞を受賞。

    2014年指揮者生活50年を迎え、2015年2月には回想録「ところで、きょう指揮したのは?」 (共著/アルテスパブリッシング刊)を出版。

    現在、東京交響楽団桂冠指揮者、広島交響楽団終身名誉指揮者、九州交響楽団桂冠指揮者、中部フィルハーモニー交響楽団芸術監督・首席指揮者を務めるほか、洗足学園音楽大学教授、京都市立芸術大学客員教授を務めている。

  • 東京交響楽団 ユベール・スダーン
    ©F. Fujimoto

    桂冠指揮者

    ユベール・スダーン Hubert Soudant

    1946年、オランダ・マーストリヒト生まれ。ブザンソン国際指揮者コンクール優勝、カラヤン国際指揮者コンクール第2位、グィード・カンテルリ国際コンクール優勝に輝いている。これまでに、ベルリン・フィル、ロンドン・フィル、ロンドン響、バンベルク響、ウィーン響、ミュンヘン・フィル、シュトゥットガルト、ハンブルク、フランクフルトの各放送交響楽団、ドレスデン・シュターツカペレ、ソウル・KBS響,シドニー響、そして、ミラノ・スカラ座歌劇場管弦楽団、ローマ・サンタ・チェチーリア管など主要なオーケストラと共演し、オペラの分野でもバスティーユ・オペラや、パルマ、カターニャ、パレルモ、トリエステ、ボローニャなどのオペラハウスで精力的に活動している。2004年7月、ザルツブルク市名誉市民およびオーストリア・ザルツブルク州ゴールデン勲章を授与された。

    メルボルン交響楽団首席客演指揮者、フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団、ユトレヒト交響楽団、パルマのトスカニーニ交響楽団、フランス国立ペイ・ドゥ・ラ・ロワール管弦楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の首席指揮者、東京交響楽団音楽監督などを歴任。現在、東京交響楽団の桂冠指揮者を務めている。

    東京交響楽団音楽監督在任中、ユベール・スダーンはシーズン毎にテーマを据え、なかでも2008年定期演奏会におけるシューベルト・チクルスでは、オーケストラを2009年第21回ミュージック・ペンクラブ音楽賞コンサートパフォーマンス部門受賞へと導いた。このシューベルト・チクルスは様々なメディアで、「2008年もっとも充実した果実」「信じられないほど絶妙なバランスがとれた演奏」と絶賛され、さらに2010年、CD「ブルックナー:交響曲第7番」(エヌ・アンド・エフ)が第22回ミュージック・ペンクラブ音楽賞クラシック部門録音・録画作品賞を受賞。2年連続の同音楽賞受賞は極めて異例のことでその実力が高く認められた。そのほかの東京交響楽団との録音にはブルックナー「交響曲第8番」、シューベルト交響曲全集(マーラー版)などがあり、いずれも高い評価を得ている。

    オペラの分野でもイタリアを中心に精力的に活動しており、日本では2005年6月の東京交響楽団定期演奏会でのプッチーニのオペラ「トゥーランドット」(ベリオ補作版による日本初演)ではそのエネルギー溢れる音楽性が高く評価された。2006年5、6月新国立劇場で指揮した「皇帝ティトの慈悲」は年間ベスト・オペラ公演に選ばれた。また近年では、兵庫芸術文化センター管弦楽団とも友好な関係を築いている。

    2003年、ザルツブルク音楽祭のモーツァルト週間では「コジ・ファン・トゥッテ」、オネゲルの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」も指揮している。イタリアでの2006年シーズンオープニングでは演出家のフランコ・ゼッフィレッリと共に「ドン・ジョヴァンニ」を指揮。2007年、フェニーチェ歌劇場でのシェーンベルク「期待」はその緻密な構成力が絶賛された。

    また、国際的な音楽祭においてもプラハの春、リンツ・ブルックナー、ザルツブルク・モーツァルト週間、ウィーン芸術週間、ニュー・ヨークのモーストリー・モーツァルト、スポレト、ラヴェンナなど多数招かれている。

    レコーディングにおいては、東京交響楽団とのCDのほか、チャイコフスキーの交響曲第4番、第5番、第6番、ヴァイオリン協奏曲をはじめ、ブダペスト・リスト・ソサイエティからディスク・グランプリを受賞したロンドン・フィルハーモニーとのリスト「ピアノ協奏曲集」をパイ・レコードから、バンベルク交響楽団とのラヴェル「カンタータ集」をリッツォーリ・レコードから、ペイ・ドゥ・ラ・ロワール管弦楽団との「フランス人作曲家たちによる作品集をフォルラーヌから、モーツァルテウム管弦楽団との「モーツァルト・フロム・ザルツブルク」、ブルックナー「交響曲第4番」「第9番」、そしてピアノのアファナシエフを迎えたベートーヴェン「ピアノ協奏曲全曲」をエームス・クラシックスからそれぞれリリースしている。

  • 東京交響楽団 大友直人
    ©Rowland Kirishima

    名誉客演指揮者

    大友直人 Naoto Otomo

    2013年4月~ 群馬交響楽団 音楽監督
    2014年4月~ 東京交響楽団 名誉客演指揮者
    2008年~ 京都市交響楽団 桂冠指揮者
    2001年~ 琉球交響楽団 音楽監督

    1958年東京生まれ。桐朋学園大学を卒業。指揮を小澤征爾、秋山和慶、尾高忠明、岡部守弘各氏に師事した。タングルウッド音楽祭において、A.プレヴィン、L.バーンスタイン、I.マルケヴィッチからも指導を受ける。桐朋学園大学在学中からNHK交響楽団の指揮研究員となり、22歳で楽団推薦により同団を指揮してデビュー。以来、国内の主要オーケストラに定期的に客演するほか、日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者、大阪フィルハーモニー交響楽団指揮者、東京交響楽団正指揮者および常任指揮者、京都市交響楽団首席指揮者および常任指揮者兼アーティスティック・アドバイザーを経て、現在、群馬交響楽団音楽監督、東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団音楽監督。また、2004年から8年間にわたり、東京文化会館の初代音楽監督を務めた。この間ほかにも1986年大阪フィルとのヨーロッパ・ツアー、1992年東響との東南アジア・ツアー、1994年ポルトガル公演、1996年、2001年ヨーロッパ・ツアーなどでも絶賛を博している。

    海外のオーケストラにも客演。コロラド交響楽団、インディアナポリス交響楽団、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団などに招かれ、2001年7月に、フィルハーモニア管弦楽団の日本ツアーで同団を指揮、2012年3月にハワイ交響楽団のオープニングコンサートを指揮、以降定期的に客演しており、同年6月にはロレーヌ国立管弦楽団の定期公演に客演、絶賛された。2013年にはエネスク国際音楽祭に招かれ「弦楽八重奏 op.7」を演奏。〝繰り返し演奏されているが、今回の演奏は最高の演奏"〝日本のオーケストラ演奏が西洋音楽への新しい希望を見出した"と評され、欧米での活躍にも大きな期待が寄せられている。

    数多くのソリストと共演しており、例えばヴァイオリンのG.シャハム、A.デュメイ、F.P.ツィンマーマン、J.ベル、J-J.カントロフ、S.ミンツ、ヴィオラのG.コセ、Y.バシュメット、チェロのM.ブルネロ、D.ゲリンガス、ピアノのR.ルプー、A.ワッツ、B.L.ゲルバー、I.モラヴェッツ、J.-Y.ティボーデ、C.カツァリス、J.-F.コラール、C.オルティーズ、H.グリモーらがいる。J.カレーラスのサポートでも絶賛を博した。常に多くのアーティストから再び共演を請われている。

    オペラにも力を入れており、1988年、日生劇場における《魔弾の射手》でのオペラデビュー以来、《オルフェオとエウリディーチェ》《リゴレット》《魔笛》《忠臣蔵》などを指揮し、高く評価されている。

    2006年には、2月に新国立劇場でのオペラ《愛怨》(作曲:三木稔、台本:瀬戸内寂聴)を東響と共演で指揮、6月に東響と京響の合同演奏で、東京・京都の両都市でシェーンベルク:「グレの歌」を指揮。特に2006年8月イタリアで開かれたプッチーニ音楽祭では三枝成彰作曲オペラ《Jr.バタフライ》(2014年にも同音楽祭で再演)や、2013年1月には同作曲家のオペラ《KAMIKAZE-神風-》の世界初演、そして2014年1月には千住明作曲新作オペラ《滝の白糸》を指揮し、大きな話題となった。

    また、東響定期演奏会で黛敏郎《古事記》、エルガー《神の国》《使徒たち》《ゲロンティアスの夢》を指揮、2011年の東京文化会館50周年記念フェスティバル記念オペラでは、黛敏郎《古事記》の日本初の舞台上演をし、大きな話題を呼ぶとともに、高く評価された。

    レパートリーは幅広く古典から現代音楽に及び、20歳の時の初レコーディング以来数多くのCDがリリースされている。最新作は、東京交響楽団との共演で『ホルスト:組曲「惑星」』がキングレコードよりリリースされている。

    クラシックと他のジャンルとのコラボレーションによる新たな音楽シーンを発信しており、既成のジャンルや表現形式に捉われない新しい形の舞台芸術をプロデュースするなど、音楽プロデューサーとしても新しい音楽シーンを牽引している。

    近年では教育的活動にも力を注ぎ、国際音楽セミナー「ミュージック・マスターズ・コース・ジャパン」を盟友である指揮者A.ギルバートと毎年開催するなど、活発な活動を行っている。

    第8回渡邊暁雄音楽基金音楽賞(2000年)、第7回齋藤秀雄メモリアル基金賞(2008年)を受賞。

今月の公演

特集記事