2019年03月28日
ママさん記者がきいてみた「0歳からのオーケストラ ~ズーラシアンブラスmeets東京交響楽団」<2>

前回に引き続き、東京交響楽団の長久保さんに「0歳からのオーケストラ」についてお話しいただきます。全国各地の子どもたちを狂喜乱舞させているという噂のスーパー金管五重奏「ズーラシアンブラス」の秘密もついに明らかとなる?
左から)ホッキョクグマ(テューバ)、ドゥクラングール(トランペット)、インドライオン(トランペット)、オカピ(指揮)、スマトラトラ(トロンボーン)、マレーバク(ホルン)
ー おとな目線の素朴な疑問なのですが、ズーラシアンブラスの皆さんはどれぐらいのテクニックをお持ちなのでしょうか?
この動物さんたち、とっても上手な動物さんたちなんです。人間界でしたら、東京都内のオーケストラの首席奏者だったり、コンクールの第1位に入賞してもおかしくないぐらいの腕利きばかり。並の演奏家では務まらないんですよ。そんな個性派ぞろいのメンバーをまとめるために、金管五重奏にも関わらず指揮者としてオカピがいるんです。
第3トランペットのゴールデンターキンを加えた鉄壁のフロント3管が東京交響楽団と夢の競演!
ー ちなみにこの中で一番人気は?
ライオンさんかな? 次がオカピで、スマトラトラも人気だけど、ちょっとコミカルなキャラクターだからコメディリリーフ的な感じ。一番地味なのはドゥクちゃん(ドゥクラングール)かもしれない(笑)。
今年は会場の関係で難しそうですが、終演後に握手会があって、動物さんたちと写真を撮ったりすることができます。かじられたりすることは絶対にありませんが、ライオンとか肉食ですから、ちょっと怖いかもしれませんね(笑)。

一番人気のライオンさんとハイタッチ!終演後には動物さんたちとの撮影会や握手会も。
ー (笑)コワカワってやつですね。でも、彼らが登場するとやっぱり子どもたちの反応って違いますか?
全然違います。オーケストラの弱点は何かというと、場面が変わらないこと、つまり視覚的な変化や刺激に乏しいところなんです。黒い燕尾服を着た人たちが舞台の茶色いところに集まって、それが増えたか減ったかぐらいの違いしかない。それでは子どもの注意って引けないんですよ。逆に、動物たちが吹いていたというだけで、その楽器に興味を持つ子だっていますしね。
細かい演出や動きなども、ズーラシアンブラスさんの方で色々とアイデアを出されて、毎年パターンが違うんです。アドリブも豊富で。昨年、「アルプス一万尺」をこの金管五重奏だけで演奏する場面があったのですが、動物のキャラクターを紹介している途中でマレーバクさんが寝ちゃうんですよ。全然起きない。司会のお姉さんも「困りましたね~、みんなの助けが必要です」って、それで客席みんなで「せーの、起きてー!」とか(笑)。
ー いや~ん、楽しそう!
おそらく、お父さんお母さんの一番の心配は「うちの子は興味を持ってくれるのかな?」ということだと思うんですけど、それこそ何に興味を引かれるかなんて未知数。試しに1回連れてきてみてくださいとしか言えないんですよね、少々乱暴な言い方ですが(笑)。
子どもたちの「起きてー!」という叫びは届くのか!? マレーバク大いにレム睡眠中。。
ー プログラムの最後、全部のオーケストラをバックにみんなで歌う曲が、今年は、NHKおかあさんといっしょで人気の「キッチンオーケストラ」なんですよね。この演奏会にピッタリだなと思って。
映画「となりのトトロ」のオープニング曲でもある「さんぽ」を6、7年ほど歌っていたんですが、アンケートにも「そろそろ違う曲も・・・」という声がありまして、今年は思い切って変えてみました。「キッチンオーケストラ」は手遊び歌で、トントントン、シャカシャカシャカ、おなべのふたはシンバルジャン♪って。
ー そうした声があるということは、毎年来られている方も多いんですね。
継続して来られている方はいらっしゃいます。長い方で5、6年ぐらい。0歳からの6年だと小学校1年生ですからね。そうなると次は「こども定期演奏会」をおすすめしているんですが、その間に弟や妹が生まれて、その子たちと一緒に来るとなればさらに5年みたいな。
小さい頃はお父さんお母さんの膝の上で、生のフルオーケストラの迫力をバンバン感じ取ってもらう。だんだん大きくなるにつれて、オーケストラの楽器に興味を持ってきて、3、4歳でヴァイオリンをやり始めたりする子も出てくるんですよね。実際に「こども定期演奏会」の”こども奏者”を経験して、その後、東京交響楽団に入った子もいるぐらいですから。
「0歳からのオーケストラ」「こども定期演奏会」を体験したのちプロ奏者になったらいいな・・・。きみは大きくなったら何になるのかな?
ー 表向きは子どもを連れていくという理由だったとしても、お父さんお母さん自身がクラシックコンサートに足を運ぶきっかけになりますよね。
それこそ、今の子どもたちの親世代、20~30代のお父さんお母さんには、自分でチケットを買ってクラシックコンサートに行ったことがない、もしくは小さい頃に連れて行ってもらったことがないっていう人が結構多いと思います。であれば、この機会に是非子どもと一緒に来てもらえればなと。子どもにとっては、そういう意味でのきっかけ作りや原体験としての出会いの場にもなるわけですからね。
ー 実際どういう組み合わせでいらっしゃる方が多いんですか? やっぱりお母さんと子ども?
お母さんにフリータイムをプレゼントするということで、お父さんと子どもで来るというのもあれば、おじいちゃんおばあちゃんが、自分の子と孫の3世代分のチケットを買っていくパターンもあるので、本当に色々な組み合わせがあるんですよ。過去には小学生2人だけで来たというのもあったみたいです。かなりのレアケースだと思いますが。
ただ、やっぱりお母さんと子どもという組み合わせが多い。どうしても芸術教育に熱心なのはお母さんの方だったりしますからね。
ー 私も含めて、お母さんたちはこういった催し物を結構探しているような気がします。
特に0歳から行けるイベントはあまりないですからね。まれに無料のイベントなんかもありますが、「0歳からのオーケストラ」に関しては、一流のプロによるちゃんとした演奏会なので、さすがに無料というわけにはいかない。でもそれを超えるだけの感動体験をきちんとお返しできていると思っています。
ー 「泣いてもいい」「騒いでもいい」「何してもいい」とまで言ってもらえるなんて、こんなに気が楽なことはない!これはちょっと行ってみるしかないですね~。
子どもに楽しんでもらえれば何よりなんです。でも一番幸せなのは、お父さんお母さんの膝の上で、子どもが演奏を聴きながら気持ちよく寝ているときなのかも(笑)。とにかく、まずは1回子どもと一緒に遊びにきてみてください。
「0歳からのオーケストラ」の見どころを優しく丁寧に教えてくれた東京交響楽団の長久保さん。「子どもに楽しんでもらえれば何より」という言葉にすべての思いが込められている気がしました。
0歳からのオーケストラ ~ズーラシアンブラスmeets東京交響楽団
「0歳から本格的なコンサートホールでオーケストラを聴く」というコンセプトのもとに2007年から始まった演奏会。2010年、マタニティマークで知られる内閣府認証特定非営利活動法人ひまわりの会による「ひまわり褒章 2010・団体部門賞」を受賞。
ビゼーの「カルメン」やチャイコフスキーの「スラヴ行進曲」といったクラシックの名曲から、みんなで歌おう!コーナー、そして全国各地の子どもたちを魅了している動物たちの金管五重奏「ズーラシアンブラス」による圧巻の演奏まで、目で見て、耳で聴いて、家族みんなで楽しめるプログラムとなっている。ホール内には、おむつ交換室、授乳室、ベビーカー置き場なども用意されている。
東京交響楽団(※外部サイトへリンクします)
http://tokyosymphony.jp/pc/top?guid=on
ズーラシアンブラス(※外部サイトへリンクします)
https://www.superkids.co.jp/z-brass/index2.html

公演日 : | 2019/4/27(土) [第1部] 11:00開演/[第2部] 14:30開演 |
出演者 : | ズーラシアンブラス(金管五重奏)、水戸博之(指揮)、東京交響楽団(オーケストラ) |
場所 : | カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター) |
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