
第九のこと【2022年版】
第九の歴史や楽しみ方から注目のコンサート・おすすめCDまでを大特集!
2020年12月16日
2020年も残りわずか。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、いつもとは違う年末年始を過ごされる方も多いことでしょう… とはいえ、やっぱりこの時期の風物詩やイベントごととして欠かせないのが、ベートーヴェンの交響曲第9番。そう「第九」です。
ベートーヴェン生誕250周年のメモリアルイヤー(12/16が誕生日🎉)ということもあり、この年末に聴く「第九」は、さぞかし感慨深いものになるはず。
ということで、ひびクラでは昨年にひきつづき「第九」のコンサート&CD情報をご紹介します!
「第九特集」2022年最新版はこちら
第九の歴史や楽しみ方から注目のコンサート・おすすめCDまでを大特集!
「第九」って、いつ誰がどんな風に作ったの? 実はあの有名な合唱部分は、交響曲のほんの一部だったなんて…。今では幅広く愛されている「第九」ですが、当時は賛否両論を巻き起こした革新的な曲だったとか!
迷えるクラシックファン予備軍(?)をはじめ、老若男女・多方面から寄せられた「第九」の素朴な疑問にひびクラ編集部がお答えします!
A1.「第九」の正式名称は交響曲第9番ニ短調作品125です。作曲したのはルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。作曲家本人が付けたわけではないですが「合唱付き」という副題を添えられることが多いです。ベートーヴェンは『だだだだーん!』で有名な交響曲第5番ハ短調 作品67「運命」を作曲した人で、クラシック音楽の歴史を変え、現在に至るまでの多くの作曲家に影響を与えてきました。「第九」はベートーヴェンが最後に残した交響曲で、全4楽章から成ります。「運命」とは約15年しか空いていませんが、その短い間にベートーヴェンは革新的な音楽を生み出しました。
ベートーヴェン作品全集2020(80CD)
(ワーナー・クラシックス音源/一部他レーベル音源)
A2.初演当時(初演:1824年)は拍手大喝采の盛況だったようですが、ベートーヴェン・ファンの一部の盛り上がりだったとも言われています。というのも、交響曲に合唱を入れるなんて前代未聞のチャレンジだったからです。今や「歓喜の歌」と呼ばれ、多くの人に親しまれていますが、初めて聴いた人たちはきっと驚いたはず。
ㅤㅤ 「第九」は現代に生きる私たちにとっても決して古いものではない、聴くたびに新たな発見が出てくるような曲です。最初のインパクトもものすごいけど、噛めば噛むほどおいしい。だから今日まで多くの人に愛されてきたのでしょうね。
A3.第4楽章で出てくる合唱の歌詞は、ドイツの詩人/劇作家/思想家フリードリヒ・フォン・シラーの『歓喜に寄す』から抜粋されていますが、これにベートーヴェンが感銘を受けたのは、まだ交響曲第1番を作曲する前のこと。ですが、その頃はこの詩を交響曲にすることは考えていませんでした。ずっと構想を温め、実際に作曲に至った際には2つ作る予定だった曲を合わせ、合唱付きの交響曲「第九」が誕生したのです。
ㅤㅤ この曲を作曲する際にはかなり難聴が進んでおり、ほとんど音が聞こえない状態だったとのこと。他にも家庭環境の悪化、オペラ上演の失敗が続いたことなど、困難から死を何度も考えていました。それを乗り越え、生まれたのがこの交響曲なのです。
A4.良い質問ですね!「第九」は合唱以外も聴きどころ満載です。第2楽章冒頭のティンパニ、第3楽章の美しいホルンのソロなど挙げればきりがないほど。普通だと第2楽章に用意される緩徐楽章(ゆったりしたテンポの楽章)が第3楽章にあったり、第3楽章にあるスケルツォ(舞曲的な楽章)が第2楽章で突如現れたりと常識を裏切る展開(楽章の構成)はきっと息を飲むことでしょう。
ㅤㅤ そして、第1楽章からの音楽をよく覚えておいて、第4楽章を聴いてみてくださいね。第4楽章では今までの伏線が全て回収され、なんとそれら全てを否定し、新たな音楽へと突入します。
A5.「人類全てが兄弟となり、幸福や快楽、喜びを神とともに共有しよう。愛する人や友人のいるこの世界での人生は素晴らしいものである」
ㅤㅤ 「第九」の歌詞にはシラーの言葉でこのようなことが書かれています。バリトン歌手が合唱に先立ち一番最初に歌い出す場面では「おお友よ、このような音ではない!もっと心地よい、歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか」と訴えますが、これはベートーヴェンが作った歌詞です。
ㅤㅤ 日本では、1940年12月31日に『紀元二千六百年記念行事』でNHK交響楽団(当時:新交響楽団)が演奏したのが始まりと言われています。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が年末に第九を演奏していたものを模倣したのです。
ㅤㅤ 海外では、お祝いごとがある際(ホールのこけら落としなど)や、戦争で破壊されたウィーン国立歌劇場が再建された際、またベルリンの壁崩壊の直後の年末に東西ドイツとベルリンを分割した連合国(アメリカ・イギリス・フランス・ソ連)のメンバーによる混成オーケストラでの公演など、「大事な場面」で演奏される曲です。
ㅤㅤ まるで忠臣蔵(水戸黄門ともいえる?)のようにうまくまとまる曲の構成と、歓喜を歌う歌詞の内容から、年末に今年のあんなことこんなことを全て洗い流そう!というのが日本でウケているのかも。海外では年末の第九はそこまで定番ではないです。
A9.クラシックのコンサートでは未就学児は入場できないことが多いのですが、小学生以上のおにいさんおねえさんは思い切って足を運ぶのをおすすめします。ちょっぴり緊張するけれど、終わった頃にはきっと一回り大きくなれるはず!
ㅤㅤ お家で楽しむなら、曲をかけながら踊っても歌ってもいいかも。また、スコア(楽譜)を見てみるのもおすすめ。楽譜が読めなくても、一緒に沢山の楽器を想像したり、音の上がり下がりを視覚化したり、歌詞の日本語訳を知ると、お子さんの想像力がぐんぐん豊かになります。
今年は、座席数の制限、マスク着用、会場入り口での検温、手洗い・手指の消毒、歓談・掛け声の自粛など、各コンサートホールで感染症予防対策への取り組みが徹底して行なわれています。演奏会を安全に楽しむためには、主催者側だけではなく、私たちひとりひとりが感染予防に努める高い意識をもち、行動することも必要となってきます。
ここが見どころ!
関東主要オケ
2020年「第九」
コンサートガイド
「第九」演奏会スケジュール
【日時】2020/12/23(水)19:00 開演
2020/12/25(金)19:00 開演
2020/12/26(土)15:00 開演
【場所】NHKホール
【出演】指揮:パブロ・エラス・カサド/ソプラノ:髙橋絵理/メゾソプラノ:加納悦子/テノール:宮里直樹/バリトン:谷口伸/合唱:新国立劇場合唱団
かんぽ⽣命 presents N響第九 Special Concert
【日時】2020/12/27(日)14:00 開演
【場所】サントリーホール 大ホール
【出演】指揮:パブロ・エラス・カサド/ソプラノ:髙橋絵理/メゾソプラノ:加納悦子/テノール:宮里直樹/バリトン:谷口伸/合唱:新国立劇場合唱団/オルガン:勝山雅世
【曲目】バッハ:組曲 第3番 ニ長調 BWV1068ー「アリア」(G線上のアリア)/バッハ(デュリュフレ編):コラール「主よ、人の望みの喜びよ」/ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱つき」
「第九」演奏会スケジュール
【日時】2020/12/24(木)19:00 開演
【場所】横浜みなとみらいホール
【出演】指揮:鈴木秀美/ソプラノ:中江早希/アルト:布施奈緒子/テノール:中嶋克彦/バス:氷見健一郎/合唱:コーロ・リベロ・クラシコ・アウメンタート
【日時】2020/12/26(土)14:00 開演
【場所】ミューザ川崎シンフォニーホール
【出演】同上
【日時】2020/12/27(日)14:00 開演
【場所】藤沢市民会館 大ホール
【出演】同上
「第九」演奏会スケジュール
【日時】2020/12/17(木)19:00 開演
【場所】横浜みなとみらいホール 大ホール
【出演】指揮:広上淳一/ソプラノ:小林沙羅/アルト:林美智子/テノール:西村悟/バリトン:加耒徹/合唱:二期会合唱団
【日時】2020/12/18(金)19:00 開演
【場所】Bunkamura オーチャードホール
【出演】同上
【日時】2020/12/19(土)13:00 開演
【場所】サントリーホール 大ホール
【出演】同上
【日時】2020/12/20(日)13:00 開演
【場所】すみだトリフォニーホール 大ホール
【出演】同上
「第九」演奏会スケジュール
【日時】2020/12/28(月)18:30 開演
【場所】サントリーホール
【出演】指揮:ジョナサン・ノット/ソプラノ:ジャクリン・ワーグナー/メゾソプラノ:中島郁子/テノール:笛田博昭/バスバリトン:リアン・リ/合唱:新国立劇場合唱団
12/28(月)の公演は、ニコニコチャンネルの「ニコニコ東京交響楽団(ニコ響)」で生中継(視聴は有料)されます。詳細およびネットチケット購入は下記リンク先よりご確認ください。
2020/12/28(月) 18:30開始
【日時】2020/12/29(火)14:00 開演
【場所】サントリーホール
【出演】同上
12/28(月)に開催を予定していた「第九特別演奏会2020」は中止となりました。詳細については、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団のホームページから、《【謹告】『第九特別演奏会2020』公演中止のお知らせ》をご覧ください。
12月下旬に開催予定の「都響スペシャル「第九」(ベートーヴェン:交響曲第9番)」に代わり、今年(2020年)は、チャイコフスキー作曲のバレエ⾳楽《くるみ割り⼈形》全曲コンサートが開催されます。
「第九」演奏会スケジュール
【日時】2020/12/18(金)19:00 開演
【場所】東京オペラシティ コンサートホール
【出演】指揮:尾高忠明(東京フィル 桂冠指揮者)/ソプラノ:吉田珠代/アルト:中島郁子/テノール:清水徹太郎/バリトン:伊藤貴之/合唱:新国立劇場合唱団
【日時】2020/12/19(土)19:00 開演
【場所】サントリーホール 大ホール
【日時】2020/12/20(日)15:00 開演
【場所】Bunkamura オーチャードホール
【出演】いずれも同上
「第九」演奏会スケジュール
【日時】2020/12/19(土)17:00 開演
【場所】横浜みなとみらいホール
【出演】指揮:飯森範親/ソプラノ:中村恵理/アルト:富岡明子/テノール:城宏憲/バリトン:大西宇宙/合唱:調整中
【曲目】ハイドン:交響曲第9番 ハ長調/ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱》 ニ短調 op.125
【日時】2020/12/20(日)14:00 開演
【場所】サントリーホール
【出演】同上
【日時】2020/12/22(火)19:00 開演
【場所】サントリーホール
【出演】指揮:小林研一郎(桂冠名誉指揮者)/オルガン:石丸由佳/ソプラノ:市原愛/アルト:山下牧子/テノール:錦織健/バリトン:青戸 知(12/22,23)、青山 貴(12/26,27)/合唱:調整中
【曲目】J.S.バッハ:羊は安らかに草を食み、トッカータとフーガ ニ短調(オルガン独奏)/ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱》ニ短調 op.125
【日時】2020/12/23(水)19:00 開演
【場所】横浜みなとみらいホール
【出演】同上
【日時】2020/12/26(土)14:00 開演
【場所】東京芸術劇場
【出演】同上
【日時】2020/12/27(日)14:00 開演
【場所】東京芸術劇場
【出演】同上
「第九」演奏会スケジュール
【日時】2020/12/16(火)19:00 開演
【場所】東京芸術劇場
【出演】指揮:セバスティアン・ヴァイグレ/ソプラノ:森谷真理/メゾソプラノ:ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー/テノール:AJ・グルッカート/バリトン:大沼徹/合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)
第637回名曲シリーズ
【日時】2020/12/18(金)19:00 開演
【場所】サントリーホール
第233回土曜マチネーシリーズ
【日時】2020/12/19(土)14:00 開演
【場所】東京芸術劇場
第233回日曜マチネーシリーズ
【日時】2020/12/20(日)14:00 開演
【場所】東京芸術劇場
第28回大阪定期演奏会
【日時】2020/12/23(水)19:00 開演
【場所】フェスティバルホール(大阪)
第124回みなとみらいホリデー名曲シリーズ
【日時】2020/12/26(土)14:00 開演
【場所】横浜みなとみらいホール
読売日本交響楽団 所沢「第九」特別演奏会
【日時】2020/12/27(日)15:00 開演
【場所】所沢市民文化センター・ミューズアークホール
【出演】いずれも同上
コンサートホールで静かに音楽を聴く…普通のフェスやライブと違った雰囲気になんだか緊張しますよね。でも大丈夫。基本さえ押さえれば、絶対に楽しむことができちゃうんです!
「ドレスコードがあるんじゃない?」なんて噂を聞くけど、そんなことありません。いつものあなたのままで行ってみましょう。スーツじゃなくても、ドレスじゃなくてもOK。近頃はデニムの人だって多いんです!でも、ちょっぴりおしゃれをして背伸びしてみるのもおすすめ。せっかくの贅沢な時間、お気に入りの服に身を包まれるのはとても素敵なことです。
当日は、曲の説明が書いたパンフレットが配られます。へぇ!と思えるような新しい知識に出会えるかもしれないので、早めに席に着いてゆっくり読んでみましょう。
そして予習も大切! あらかじめ音源を聴いてイメトレしたり、この特集を読んだり、どんな音楽が奏でられるか想像するのも楽しいですよ。もし、奏者を近く感じたいなら前方の席、オーケストラ全体を楽しみたいなら1階中央か2階前方の席を予約するのがおすすめ。
実はコンサートで一番難しいのが、拍手のタイミング。周りの様子をよく観察してみましょう。曲が終わったかな?と思っていても、実は途中だった!ということも。ちなみに「第九」のような交響曲は楽章間の拍手をしないのがルールです。曲が終わったら、決してフライングせず、気持ちを込めて演奏者に敬意を伝えましょう。もし聴衆が感動したなら長く拍手が続くことも。長い緊張が解けたこの瞬間を温かい気持ちで過ごせるはずです。
コンサートでは、この瞬間にしか体感できない「今」の音楽、空間、息遣い、そして自分の中に生まれる気持ちを楽しむということ。難しいことを考えすぎず、ありのままで過ごすことで、あなたにとって忘れられないクラシック体験が生まれることでしょう。
では、いってらっしゃい!
今年はベートーヴェン生誕250周年のメモリアルイヤーということで、新録から、再発、ボックスセット、企画モノまで、各社から数々の魅力あふれる作品がリリースされました。こちらでは、今年発売された「第九」、または「第九」を含む交響曲全集から、HMV&BOOKS onlineの年間ベストセラー 5枚をピックアップしました!
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ユーザーコメント
コメントを投稿する2019/12/1 st****aw**r
2019/12/1 d***u1