2019年07月23日

オーケストラとともに~東京フィル×東急グループ代表 野本弘文(東京急行電鉄株式会社 代表取締役会長)<1>

オーケストラとともに~東京フィル×東急グループ代表 野本弘文(東京急行電鉄株式会社 代表取締役会長)

音楽を愛し会場に足を運ぶ聴衆ばかりではなく、多くの企業や個人に支えられているのがオーケストラ。その支援者をフィーチャーし、お話を伺うのがこのコーナー。

第5回は、東京フィルハーモニー交響楽団を賛助会員として支援する東急グループ 東京急行電鉄株式会社の野本弘文会長。
東急グループが運営するBunkamuraオーチャードホールでフランチャイズ契約を結ぶ東京フィルと共に、人々の豊かな未来を描く。街を創り、文化を生み出す意義。そして、その思いを語る全2回。

 

「音楽など『コト』にお金や時間を使う、それが『豊かさ』であるという時代が来たんです」

 

— まずは、東急グループの事業内容についてお話しいただけますでしょうか。

東急グループは、東京急行電鉄株式会社を中核とする企業体。社名に「電鉄」とありますが、もともとは1918年に実業家の渋沢栄一氏等が設立した田園都市株式会社を源流としています。田園調布をはじめとした地域の都市を開発・発展させていく中で、1923年に住民の利便施設として鉄道を開業。同じ鉄道会社でも、都市と都市を結んだ他の鉄道沿線とは異なり、街づくりをしながら線路を伸ばしていきました。

そうした街づくりの中で、ストアや百貨店を作ったり、学校を誘致したりして経営も行なう。さらにその延長線上で、海外事業、空港事業、電気やガスなども販売するといったように、BtoC(企業と消費者の取引)、つまりお客様の生活に密着したサービス事業を推進してきたのが東急グループとなります。

— 2016年からは仙台空港の運営も行なっているのですよね。

仙台空港は東北地域の拠点。観光資源も含めた街づくりに協力できるのではないかということで運営に参画しました。空港を拠点にして他の地域とどういうつながり方ができるかについては、人の動きはもちろんのこと、特に物流において、農産物や海産物を海外に輸出するようになり、空港のポテンシャルが今後高まっていくだろうという視点から考えています。

オーケストラとともに~東京フィル×東急グループ代表 東京急行電鉄株式会社 野本弘文(代表取締役会長)

— 東急グループといえば渋谷。長らく渋谷の再開発に着手されていますが、今年注目すべきことは何か教えてください。

渋谷駅周辺では最大級となる高さ約230メートルの「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」が今年の11月1日に開業する予定です。

商業施設などの開発と連動する形で、より利便性の高い交通結節点の整備と強化も実現されます。ちょうど渋谷駅の上にビルが作られて、ビルからエスカレーターで降りていくと、JR各線、銀座線へ、さらに降りると東横線などにつながる構造です。来年には埼京線のホームも近くなりますから、非常に便利になります。

— 渋谷以外にも、今後開発に着手していくエリアというのはたくさんありそうですね。

田園都市線の西側、長津田と中央林間の間にある南町田。かつて「グランベリーモール」というショッピングモールがあったのですが、それを閉館し、隣接する公園と駅とを一体化した約22ヘクタールという広大なエリアを、当社と町田市が連携し「南町田グランベリーパーク」として再整備しています。本施設内には、アウトレットを主体としたショッピングモールと映画館などが軒を連ねる商業施設「グランベリーパーク」が今年の11月にオープンします。

私は30年前から「生活遊園地を作るべきだ」と思っていました。音楽など「コト」にお金や時間を使う、それが未来の「豊かさ」なのではないか、いずれそういう時代が来るだろうということで、今回の商業施設のコンセプトは「生活遊園地」としています。

また、2022年度の完成予定で、新宿 TOKYU MILANOなどの跡地に約225メートルの複合施設を計画中です。中層階までは、劇場、ライブホール、映画館といったエンターテイメント施設で構成します。その上階は、ラグジュアリーからカジュアルなものまで、様々なニーズにお応えできる客室を用意したホテルになります。隣接するシネシティ広場に面した屋外ビジョンとステージも設置し、映画のワールドプレミアイベントのレッドカーペットに利用できるようなスペースも作る予定です。

野本弘文

— まさに次世代に向けた「街の魅力づくり」。お話を伺っているだけで夢がふくらんできますが、実際とても大変なことですよね。

とにかく使命感の方が勝っていると言いますか、私が代表になって、その中で東急の確たる使命は3つあるということに気づいたのです。

まず、世の中に役立つことを事業化し継続していくということ。鉄道事業、不動産事業、ホテル事業はしっかりと利益を出していかなければならない。でないと続いていきませんからね。

そして、沿線を持っているので、そこに住む人々が豊かに生活していくために病院やスポーツクラブ、保育などの施設や仕組みを提供していかなければならないということ。

もう1つは、ブランドを維持し高めるということ。お客様から支持していただけるような社会的責任を持って、文化事業、学校経営などにも取り組んでおります。

— 世の中のために街や文化を発展させていく。東急というブランドが多くの人に愛される理由が分かりました。

常に少しずつ成長していることが街には必要なのです。建物自体が変わらなくても、中身は変わっていき、「いつ行ってもどこか新しく進化している」という姿が見えてこないと、面白くないんですよね。みなさんにとって住みたい、また訪れたいと思えるような街づくりをしていきたいと思っています。

 

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第2回 渋谷の午後のコンサート 歌うヴァイオリン
第2回 渋谷の午後のコンサート 歌うヴァイオリン
公演日 : 2019/8/9(金) 14:00開演
出演者 : 指揮とお話:ダン・エッティンガー/ ヴァイオリン:大谷康子
場所 : Bunkamura オーチャードホール
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東京フィルハーモニー交響楽団 2019シーズンオーチャード定期演奏会
東京フィルハーモニー交響楽団 2019シーズンオーチャード定期演奏会
公演日 : 2019/9/22(日) 15:00開演
2019/10/20(日) 15:00開演
2019/11/23(土・祝) 15:00開演
出演者 : 【9月】指揮:アンドレア・バッティストーニ/ヴァイオリン:木嶋真優/女声合唱:新国立劇場合唱団
【10月】指揮:ミハイル・プレトニョフ/テノール:イルカー・アルカユーリック/男声合唱:新国立劇場合唱団
【11月】指揮:ケンショウ・ワタナベ/ピアノ:舘野泉
場所 : Bunkamura オーチャードホール
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